第3話「科学スキル使いこなすしかない!(改稿済み)」


 それから俺は魔物の森を探索するのをやめ、大きな樹木の麓でただひたすらに【科学スキル】について調べることにした。


「ステータス!」


 ステータスのホログラムを開き、そのうちのスキルについてタップする。


 すると、拡大表示され、さっきまで隠されていたスキルの説明が浮かび上がってきた。


 書かれてあったのは以下の文章だった。


―――――――――――――――――――――


科学サイエンス

 現代科学の結晶、叡智。その力を拝借することで成し得たオリジナルスキル。

 何かしたいことがあった時、化学反応やその機構を用いようとすればそれに伴った働きを起こすことができ、そしてそれを行使することができる。SP消費は1度につき1つ。


 ※起こした化学反応は制御下から離さないかぎり自分に危害を起こさない。

―――――――――――――――――――――


 正直、最初はよく分からなかった。


 説明が抽象的と言うか、なんなら一行目なんか説明じゃなくて成り立ちだし。


 いやまぁ、俺だって一端の理系大学生だったわけでそれなりに科学的な知識が無きにしも非ずって感じだが——なんか、説明を前にしてふと思う。


 これ、使いこなせるのかなと。


 つまり、このスキルは科学的な知識があればあるほど使えるが、それを知らなければ何の役にも立てないということだ。


 あくまでも仮説だし、無意識的に頭の中に知識が入っているかもしれないけど。


「いや、使ってみないと分からないか?」


 そうだ。

 あまり悲観するな俺よ。


 異世界のよくわからない森で1人だからって冷静さを欠いてはいけない。


 確かに貰ったスキルはそう便利なものじゃないかも知れないが使いこなせるように訓練していけばなんとかなるんじゃないのか?


 あぁ、どこぞの不幸が口癖ツンツン頭の少年もなんだかんだ気合と持ち前の正義心でなんとかやってたんだ。


 前世とシュナイダー家で自由に出来なかった分、俺のこの世界での生活を謳歌したい。


 そのためにはまず、このスキルを使いこなしていかないとだな。


「それじゃあ……やるか!」




 ……。


 それから小一時間が経った。

 俺はひたすらに樹木の下で研鑽を重ねて分かったことがある。


 ちなみに一度も魔物に襲われなかったのは運が良かったと思う。


 正直、考えてもいなかったしな。


 んで、とにかく分かったことは説明の通りだったということだ。


 説明の通り、どういうことかと言うとこのスキルの原理自体は魔法と似ているということだ。


 科学とは言いながら、実際扱うのはだったのだ。


 つまり、だ。


 を考えること。


 火をつける際に必要なものは酸素、可燃物、そして熱のこの三つ。


 簡単に思い浮かべやすいのはマッチだ。


 マッチの原理は棒の先についている酸化剤と箱の側面についている発火剤(赤リン)を擦ることで摩擦熱を起こして発火させる。


 それを想像しながら似たような原理を行えばいいのだ。


 要は指パッチン。


 右手も親指と中指に酸化剤と発火剤がついていることを想像し、摩擦を起こすために指パッチンを行う。


「よっと」


 すると、あら不思議。


 ——ボッ!

 

 と音がして、まるで火属性魔法の様に火が手元に現れるのだ。


 そこで出せるのはせいぜい直径10~20㎝程度だが、大きさも食わせる酸素の量で変わってくるためそれを調節すればいい。


 そして、火力を上げるにはガスや燃えやすい液体をを使えばいいのだ。


 種類としてはたくさんあるが特に用途に合ったものを思い浮かべるだけでいい。


 有名なもので言うならガソリンなどの可燃性液体から、可燃性ガスとして使える水素(H2)、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、エタノール(C2H5OH)、一酸化炭素(CO)など。


 恐らく人が良く使うガスコンロの都市ガスのようにこれらを混ぜ合わせたものを火に当てればかなりの火力が得られる。


 それでも足りない場合は火炎放射器を思い浮かべればいい。


 マッチの様に火をつけた後に、ゲル化ガソリンやナパームをあて、それを空気で押し出すという機構を手の上で作りだせばお手軽手のひら火炎放射の出来上がりってわけだ。


 爆発させたいなら、水素と酸素を結合させればいいし、応用すれば手榴弾的な爆発物だって作ることができる。


 もしかしたら水素電池だとかも作れるかもしれない。


 つまり、方法などいくらでもあるってわけだ。


 そこまで導き出したところで、さっきまで考えたことが杞憂きゆうになった。


「——これ、魔法よりも便利じゃね?」


 もちろん、俺の科学に関する知見があることが前提になる。


 ただ、聞いて驚け今の俺のINTはレベル1で1000を超えている。


 もし、この値がレベルを上げるごとに増えていくようであれば、おそらく知らないことも覚えていけるかもしれないということになる。


 それに、だ。


「ステータス!」


――――――――――――――――――――――――――――


〇レオン・ゲネシス・シュナイダー

 年齢:14

 種族:人間(元貴族)

 性別:男

 魔法適性:0/5

 魔法属性:なし

 オリジナルスキル:【科学サイエンス

 Lv:1

 MPマジックポイント:0/0

 SPスキルポイント:1000/1004

 STRストレングス:4

 DEFディフェンス:5

 INTインテリジェンス:1589


――――――――――――――――――――――――――――――


「……まじで全然減らないじゃん」


 そう、俺のSPが多すぎて一時間近く研究しても4ポイントしか減っていないのだ。


 そうなれば、この手のひらで何でも生み出せてしまうことになる。


 可能性は無限大。


「……やっば。なんか、楽しくなってきた!」


 真夜中の魔物の森に俺の声が響く。


 楽しいことは時間が早く過ぎると言うが……大学時代、大して楽しくなかった勉強をして手に入れた知識がこうも面白いことで花開くとは思わなんだ。


 もっともっと試して、力をものにしないとだな!




<あとがき>

 念のため言っておきますが、科学知識とありますが僕自身めちゃめちゃ詳しいわけではありません。おそらく、有識者の片からご指摘が今後増えてくるのではないかと考えられます。もちろん、この作品はフィクションなので鵜呑みにはせず、その時はコメントなどで教えていただけると幸いです。



 絶賛改稿中で本当にすみません。2/27中には終わらせます!



 

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