第5話 メモリー

 二機の宇宙船の前に巨大な龍がいる。「これは…銀河獣。うッ、頭が…」ゼットは記憶喪失であり、その記憶をこの時取り戻す。かつて銀河獣との激しい戦いがあった。それによって時空が歪み、被害も甚大だった。相棒と共に戦いに臨んだ戦士の名はアグル。アグルは記憶を失くしてから戦いを終わらせる意味のゼットと名乗った。「そうだ。思い出した。私の名はアグル。相棒の名は」「ラウス」「そうだ。あれ?君はラウスか!」「そうだよ」その時、銀河獣が光線を放つ。二機が避ける。「話はあとだ。先に片付けるぞ」「了解」二機の連携した攻撃で銀河獣は倒される。「よくやった、相棒」「まだ幼体だったから楽勝だ」「話の続きをしよう」二機は星に降り立ち、再び森の泉に来る。「ラウス。君はどうしてあんなことを?」「話せば長くなるよ。僕は銀河獣との戦いで生じた時空の歪みによって異世界に飛ばされた。その世界は、この世界とよく似ていたけど、決定的に違った。それは、邪悪な気配で満ちていたことだ」「ここ霊界ガイアの対を成す魔界ディスガイア」「そう。その邪悪な気配が問題だった」「何がだ?」「君も知っているとおり、僕には愛する花がいた」「確かに。君は言葉を話す花を愛していた」「その彼女が邪悪な気配によって言葉を話さなくなった。それどころか様子がおかしくなって急成長を始めた。彼女はどんどん大きくなって、僕は訳が分からなくなった。それからは記憶がない」「つまり、君は無意識に種を埋めていたことになる」「記憶はなかったけど、花への愛は残っていたんだと思う」「笑わせるな、宇宙の問題が花への愛だったとは」「相棒の笑顔、久々に見たよ」「そうか。でも、君が種を埋めたのは事実だ」「うん。罪を認めるよ」「私は、この件に関して全権を任されている。君に罰として、私と共に巨大樹を伐採する任務を与える」その後、アグルとラウスは並行世界に咲く巨大樹の花を伐採していった。「ラウス。愛とはいえ埋め過ぎだ」「すまない」「まあ、無意識に並行世界を移動する力を手に入れたことは有益だ。今後も役立ててもらうぞ、相棒」「了解」

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