第Ⅱ章SUN RISE-夜明けのエンペラー‐
20年前・・・・1840年・京・鴨川
一人の幼い男の子が鴨川の河川敷に埋もれていた。飢えに苦しみ寒さで身体が動かない。心臓の鼓動が熱く燃えているが、男の子に意識が霞む。
「ハァ・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ」
意識が徐々に霞んでいってしまう。
「おい、大丈夫か?息してるな。待っていろ」
「友禅さん、友禅さん、そんな男の子は捨て置いて。ご公務ですよ」
「黙っていろ。目の前で苦しんでいる子だ。助けてやる」
「下総守!?」
「命だけは保証してやる俺は幕府側の一介の藩士だ。お前を助けてやる。」
「・・・・・・・・・うっ」
「
友禅が鞘から刀身を抜いて男の子の時間を置換させた。命の灯火だけは消えたりしないが友禅の妙技に対象の時間を置換或いは切除が可能。織野坂友禅は
「あぁ・・・・ぁあっ・・・りいいぃいいぃつ・・・があっぁっ・・・と・・」
友禅が鞘に戻すと男の子は足早に鴨川から去っていた。
友禅が公務で京を訪ねて数日後に天寿院チャイカから電話が鳴った。友禅が江戸の藩邸に帰ったところにチャイカから電話が鳴った。
≪もしもし?友禅、息災か?私だ。天寿院チャイカだ。望月家は天寿院家にカンフースタントマンだ。要するに影武者ってところかな。望月家はもう滅亡に近い。故に天寿院家の名代として宗家として八咫烏の遺志を継いでいる≫
≪ハッハハハハハハハハハハハハハハンンンッン”ン”ン”ン”俺はいつでもこの国を護ると決めて命を賭している。天寿院家の命には従う。全ての異能者にとって天寿院家は宗家の命だ。高野山には菩提寺が建立されている。俺は高野山も忘れてはいない、んで?こんな時間に電話って珍しいな。用件は?≫
≪友禅が助けた男の子だ。その男の子をキミに預けたい。出来るかな?荒野の用心棒である君に適任だ。私も私で実は武威主畝との問題が急浮上でこの1万2千年振りに覚醒がこの地球がポールシフトで次元上昇起こり始めた≫
≪チャイカ?その任は答えた筈だ。俺は教える身ではない。それでも教えを問いたいと申すのか?俺は異能でも武芸には腕に自信がない。男の子の名は?≫
≪姓を天神と言うたか。それだけだ。天神と聞いてピンと来たか?神武天皇の直系筋が天神家その男の曰くが姓が天神と言うてるんだ。お前が男の子を育てろ≫
≪やれやれだぜ、チャイカさん。了承した。5年預ける。その後は天寿院が責任もて。八咫烏その血筋を継いでる天寿院家こそがその子を責任持たせるのが得策だ。≫
電話が切れて友禅は屋敷に服を脱いで袴と着物を折り畳み刀を置いて半袖のMURASHUGAMIINGのシャツを着て履きやすいジーンズに明かりを灯した。
「友禅様、郡道様から件をお預けいたしました」
「桑名から?1840年ごろの江戸は不穏と空気がマズかった。それはそれだ。今から桑名藩邸に向かう。ちょうどよい」
「畏まりました。」
友禅の仕かいは江戸に来た時に城内を教えてくれた若者だ。今は自分の邸宅に住まわせている。友禅は黒いコートを着て刀を腰に差して桑名藩邸に向かう。
「OK」
その日は子の刻。深夜寝しづまっている江戸の街に明かりが灯される。
桑名藩邸・郡道平八郎美玲衛綱邸宅
「こんな時間に珍しいとでも?俺は基本0時に寝て7時起きだが。まぁ、今日ぐらいは用件は?」
「京の件だ。そういえばわかるか?友禅、京の公務中に助けた子だがな、多井貴晴殿からの書状だ。ホレ」
「理解、理解、理解の3段速だ。多井貴晴殿は元禄に亡くなっているが?それがいまさら書状とは。まぁ今日は夜が更ける。美玲、本多衆を呼べ」
「我が夫の遺言だ。本多衆にも聞かせるのか?」
【天神家異能覚書留本多家伝聞録】
『古異能者目覚候名申家者天神申,汝異能者天神始也聞元伊勢天照大神鎮座誠也,伊勢倉田山御眠致祀候事,學舎処願伊勢地若者育成機関多井貴晴殿綸旨届願祀事,江戸家中織野坂下総守友禅頼,戦中大事無視蔑奉候節神君東照宮殿我人生三百御仕候也,我妻本多郡道平八郎美玲衛綱愛奉友禅託事,本田家集者遺地領地安堵所領故江戸守護勤節候事,天神者異能覚醒覚倉田山御學舎建設平和願平和勝武威主畝長期也戦戦禍呑辛候事,天寿院家督継者天寿院娘異能宗家也,本多衆石神殿倉持殿小清水殿鏑木殿ソフィア殿五十嵐殿本多平八郎忠勝命従桑名守護者,天神共戦(花押)多井伊勢守郡道美玲貴晴』
これで書状は終えている。多井貴晴がこの世を去ってから藩邸に届いた書状。友禅はそれを読んで仏壇に手を合わせる。
本多衆も涙を流し、刀の鞘を抜いて亡き多井貴晴の遺志を継いだ。それが約20年前のこと。早い段階から友禅は刀を差して改めて多井貴晴に誓った。
「泣き殿の遺言が今になって・・・・桑名は総じて江戸を守護する。友禅?ここにある天神家は
「御意、美玲殿。夜が明ける。俺がガキを5年で育てる。その後宗家に預ける。」
本多7人衆は友禅に従った。20年前のことであやふやが多いが
天保11年(1840)伊勢・竜安寺ー無明庵ー
織野坂友禅は5歳の男の子を寺の庵で育成した。
「天神の子か?」
「天神幽、天神の子だよ」
「俺は厳しい。
「
友禅は天神幽を異能ではなく、刀や武芸での育成だ。だがしかし、桑名藩士の郡道平八郎美玲衛綱は表向きは桑名藩士の藩邸を束かっている江戸城内の将軍職を支える重臣家老だが裏向きの顔は京の帝に連絡係と八咫烏直系筋にあたり祖先がヒラム・アビフという石工職人の神官。郡道の家系は中東一帯にヒラム・アビフという人物から始まる。
織野坂友禅が江戸に着く前だ。薄子力也と生前に会った際に話したことだ。
「大殿の家内を知っているか?」
「ん?まぁ、力也殿からの口からは。俺は江戸の関東出身だ。そこまでここに疎い」
「だろうなぁ、伊勢に転封されたんじゃろ?届かない恋だね。笑っちまうよ。オメェの親父とは面構えは共に戦場を駆け抜けた思い出がある。大殿の家内は南蛮から来たって噂がそこら中の市内から聞こえる」
「大殿が惚れ込んだ女性だ。南蛮から来た旅人だってことしか分かっちゃいねぇよ」
「流浪人か」
友禅も桑名に滞在は短いが、伊勢の竜安寺に来る前だ。竜安寺の創建は400年だ。最も古い寺院で境内に庵を構えることにした。名を無明庵だ。
流浪人である郡道平八郎美玲衛綱は
「伊勢桑名藩と安濃津藩とは俺にとっちゃ幕府からの命だ。徳川に味方して領地の安堵など二の次だ。関東武者常駐戦陣ナベブギョー揃い踏みは徳川に恩顧ある武将や大名は関東から東北だが。俺は徳川から関東下総以外に桑名藩と安濃津藩一部の領地を与えてくれてたがお断り申した。その変わりが伊勢の竜安寺の境内だ。」
「で、それが?この6畳半で?」
「俺の家は江戸だ。ここは貸し倉庫みてぇな役割だ。幽」
「異能教えてくれ!?強くなりてぇんだ!?」
「刀を覚えろ。刀での侍としての自覚だ。」
織野坂友禅は無明庵の近く卒塔婆が並んでいる竹林に天神幽は慣れない太刀を握らされて友禅も刀を抜いた。
「
「
まだ地獄のコントロールは効かずに青い焔がボッと着火し消える。だが友禅の神速抜刀を踏み込んだその大太刀の一撃は天神幽を瞬間的に攻撃の時間を斬りその前に戻した。友禅の刀は異能を断ち斬る能力を無に帰す納刀伊勢桑名の刀匠薄子力也は多くの異能を斬る刀を造り上げてきた。
「ッ!」
≪やっぱり人間というのは戯言のエンタメだ《Schließlich ist Menschsein Unterhaltung von Unsinn》≫
長髪の傷がある男性。髑髏の傷が彫られた腕を持つ男が青い焔を浮かびあげさせる。
「サ、ササ、サタ・・・ンッ!?」
≪驚くことか?《bist du überrascht?》俺も長い時間を過ごしてきたぜ《Ich habe lange Zeit verbracht》≫
「
友禅は納刀して天神幽の背後に焔を捉えることはできない。友禅は慶長5年に産まれた。父親である織野坂下総守友彦は保元平治の乱から島原の乱までを多くの戦場ヶ原と戦禍を潜り抜けてきた猛者だ。
多井貴晴と手を組み、バディーを組んでいた。多井貴晴も伊勢の虎/伊勢の龍と呼ばれて背中にとらと龍の入れ墨が彫られて大御所様が駿府城での居城の際に郡道平八郎美玲衛綱と知り合い婚姻、正室として小清水式部行燈衛門純一を産んだ。
「しゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「詰めが甘い。構えが全然、レベチーだ!?」
「どりゃああああああああああああああああああああああああああああああ」
「舐めるな!?薄子力也の名刀に恥じぬ刀を覚えろ、こりゃ」
無明庵に響く刀の打ち合い。無明庵には4人与っている。天神幽以外にも郡道美玲の言伝を得て4人も無明庵に世話になることに。
後にKGU創設となる5人五賢帝が共に無明庵で送る日々織野坂友禅が有給休暇消費するのに5年。1845年までここ伊勢の無明庵で侍を教えた。
(天神の異能は地獄まだ覚醒前だ。コントロールも効かない。正直、驚きだ。初代神武以来の異能だ。神武の血を継いだ天神瞳が最後と記録ではな。この日本では武威主畝と篹璃賦蘆2点問題を抱えている。コイツら異能を鍛えれば俺も難がある)
織野坂友禅は父親である織野坂下総守友彦の遺志を継いでいる。故に桑名とは縁があって桑名を思ってその任を受けている。
―――――――とある宙―――――――
2060年
天保年間を記録媒介に視てきたひろゆきの前に13人が円卓を囲む。全員序列が存在して序列に応じての席順が決められているひろゆきは本をたたみ玉座から階段を下りていき下の階に黒フード姿の風貌がコレコレに似た男性がひろゆきに会釈する。
「大いなる
「そうだねぇ~2060年に入って以降は無だよ。1840年を視ているが興味深いね。KGUが創設されるのは1882年4月29日の伊勢倉田山だよ。その40年前の媒介とかデータやエビデンスからでも分からないと思うんですよね。天神幽と4人KGUの存在が大きくなる。我々はこうして見届ける」
ひろゆきは本を折り畳み下顎髭が目立ち麦わら帽子をかぶって銀ジョッキー2.5ℓ入る銀製のジョッキーにビールを注いで呑みグレー一色のシャツにジーンズを履いて13人は円卓に腰を下ろして1840年の特異点を興味深く見ていた。
「川村飯店の意見は?」
「ん?あぅ?(ヤニシュパー)キミたちなんだっていうのさ?あぁ、1840年の特異点で天神幽についてか、目立った動きは見れないよ。序列9位に言うなよ」
180cm60kgの黒髪の長髪の男性が答える。電子タバコを吸い長い髪の毛をゴムで結び川村飯店の総括料理長が言う。年齢45歳既婚者。序列は9位。1840年の水晶モニターに映り込んでいる記録を観ながら言う。
八咫烏は1900年に滅亡。それ以降の世界を陰からの実力者で真の黒幕真の立役者で指示役としてフィクサーとして我々は存在する。
「
序列3位の発明家・天才クリエーターの少女が車椅子を押しながら席を移動する。背後には2体の自身が造った4mを超す機械仕掛けの絡繰り人形が少女と見なられる女性の車椅子を押す。
「私は異能や実力で物差しで成り上がった訳でもありません。ここに座れるのは確かな実力者で勝ち取って序列3位の事最近はツマラナイ世の中だ。かつては賑わっていた旧友の想い出も今はない」
席においてあるティーポットに手を差し伸べて急須に茶を淹れて優雅に飲み少女は淑やかなメイド服を改良したワンピースに甲冑をつけて2体のロボットが少女を護衛している。
「我々ここに集う者は冠位ですらを超える実力者だ。川村飯店の総料理長も同意の意見だ。
「序列2位の重みは違いますわね。いかにせよ、あなたはあなたですらない深淵を覗いた欲深い知恵者の探求者ではない限りあなたは消えない。ねぇ?教授」
「ハッハハハハハハハハハハハハハハンンンッン”ン”ン”ン”ハッハハハハハハハハハハハハハハンンンッン”ン”ン”ン”実に実に実に愉快で面白くもない呼び方だ。教授ハイパーな質問だが、私はあくまでも知恵を求める男だ。それゆえ人類史の各分岐点で私の遺志は生きている。」
円卓を囲んで背の高い仮面をつけて全身鎧姿で黒コートを羽織って細身の身体つきだが体の資本作りで筋肉も調整されその教授と呼ばれる声は渋いが40代~50代後半の髪の毛は銀髪でタバコを吸う。
「ひろゆきさんが我々を招集した事実間違いはないでしょ?冒険でしょでしょ?八咫烏が滅亡した時点誰もこの地球や太陽系を護れないと知って行動したその結果がこれだ」
序列12位にいるフードを被った金髪の青年。本人は槍の名手。
「幽、もう同じ苦しみを味わいたくないのなら俺が鍛える」
「ハイッ、宜しくお願いしやす!」
「織野坂流天照鬼覇免許皆伝1の太刀」
天神幽が毎日友禅と刀の打ち合いで覚えたのが友禅が実践向きの剣術だ。
「右、左、右、右、右からの左に廻ってこうだ!」
「釼は目で見るな、心で捉えよ、相手の呼吸、相手の息、相手の思考」
「ズバアアアアアアアアアアアアアッ!」
「ハァ・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァゴホッゴホッ」
天神幽の息が荒々しく咽る。冷静に友禅に1本取れた。友禅も刀を構える。
無明庵で天神幽と同時期に学びを受けていたのは伊勢桑名藩出身で伊勢の天領地御厨御園を治めていた魔柄応神が友禅の下学んでいた。齢17歳にしてだ。
「幽、今日は腕前が進捗みられてよかったよなぁ!?」
「うるせぇ、応神は本ばっか読んでる方じゃねぇか」
「笑わせるな、本から基本は学ぶものさ。お前は5歳でまだ青二才の坊主。俺は17歳。幽、12歳も年上だ。元服した時点で伊勢の領主だ。」
「そうだな、フッ」
友禅は竜安寺の水を呑みながら、汗を拭いて天神幽も水を飲んで汗を流した。1人で竹林から折れた竹刀を抱えて帰ってきたのは19歳の四条小路家から派遣されてきた四条小路澪だ。彼女は異能を斬り、異能を断ち斬る、異能を無効化するという産まれた時から特異な性質でこの世に生を受けた。
「私は異能者と慣れ合わない方が運がいいよ。私に触れてみな、異能が意味ないよ」
「ぼっちちゃんって訳にはいかないじゃん」
四条小路澪に天神幽は声をかける。後にこの出会いがあって天寿院での修行を介して20年後の京に再会となった折に
「わりぃ、ちっと席を離れる。お前ら座学しとけよ」
友禅のスマホに電話が鳴る。着信相手は見知らぬ非通知だ。
≪もしもし?あなたが織野坂下総守友禅とお伺いしますか?すみません、非通知でこんな知らない人間から気味悪いですよね。名を申しますと初めまして友禅。2060年からの惑星を統べるもの《メルトステラリヴァヌス》序列1位の■■■■■■と申します。現状名はいいにくいのですがね。≫
≪誰だ?気味悪いなら、かけてくるな。電話切るぞ。用がないのなら帰れ。俺は生憎忙しんだ、惑星を統べるもの《メルトステラリヴァヌス》はて?そんな組織のお偉いさんが俺に用かい?≫
≪説明は時期に早い段階で済ませていただくと。友禅?貴殿は天寿院宗家と縁者と聞いておりますが?2060年の史料では『織野坂下総守友禅という人間は天寿院宗家と縁者の関係とある。天寿院チャイカとは肩を並べる相手だと』訂正しますか?相違なら相違ないというので助かります。≫
≪いや違うッ、いやっ別にッ、天寿院の家とはよくはしてもらっている。俺はその天寿院家の名代で任を受けてる身だ。≫
≪そのさぁ、メルトステラリヴァヌスがどういった件で俺に電話してきた?俺もいまいち理解はできるがひょっとしてだが
≪いや、否定出来ないね。2060年我々は人類最期の戦いを彼岸より見届ける星の終焉と星が生まれる刻それが最終決定とするKGUはこれからが誕生する。そして日本で唯一の砦となる。惑星を統べるもの《メルトステラリヴァヌス》は織野坂友禅を特別任命に受理する≫
≪KGU綸旨に命じるならこれからの人類史の定款は視れる。では、友禅殿。失礼したよ。序列は13位までで多くは言えないが100億年前からの陰からの実力者でほとんどが実力に応じて序列という評価があるそうだよ、いつか対峙することがあろうか。無かろうか。だが、我ら13人は葉加瀬ハヤトより1200000000倍強い覚悟しといた方がイイ≫
電話が切れた。友禅は刀の刀身を鞘に戻した。天寿院とは縁者の関わりがある。天寿院チャイカの母である天寿院申鶴に現在の自分がいる。
―――――――無明庵――――――
「俺は俺で好きにさせてもらってるよ。
「おっさん、そうだったんだ・・・」
「おうやい、幽?俺にゃ好きに生きることで好きを謳歌して天命を待つ。でもなー、友禅に言われたんだよ。『好きで好きを一生で賄えない事態が続くと。その場合はお目自身磯城家の跡継ぎとして名代としてKGUを設立させるのに身命を賭して戦え』そう逢瀬仕る。そん恩がある俺は今もこうして縁側で漫画や兵法書を読んでいない。考えてるんだよなぁ」
「おっさん、俺たちの盾になってくれるのか?いつか共に戦って背中を預ける。おっさんは信じてる」
「ガキにゃ、クククククク・・・・面白い小僧だ。俺を信用できるなら俺もオレでちっと用がある場所に出張で行く。友禅には言うなよ」
磯城譲(30)土佐藩出身の流浪人であり放浪者。
笠地蔵を被り煙管を咥えて太刀と小太刀を腰に差してサンダル姿に黒コートを着て無明庵から離れた。
「友禅よぉ、調子はどうじゃい?」
「住職か、お世話になって済まない。住職だ。鏑木殿の父上だ」
「息子とは縁もない。今はこの竜安寺で御勤めを参りしております」
「友禅?お前は戦を知ったのは大阪だったけ?違うか?」
「えぇ、大阪の陣ですよ。」
住職は圓楽上人。鏑木の実父で竜安寺を継いでいる。元々は天寿院家が創建した寺院で卒塔婆が竹林を囲んでいる。参拝者もいない。友禅は初陣を飾ったのが大阪の陣だ。無明庵での5年があっという間に過ぎ去る。
伴冷泉(伴五十爾郎)は傾奇者ではなく御曹司の風貌だ。スーツ姿に腰に刀を差して帽子をかぶって無明庵の机にいつも背を向けていた。25歳の若さだ。15歳で元服後まだ知らぬ大陸の向こう側に船で渡って多くの知恵と叡智を吸収した。
「伴冷泉は歴代の翁の肩書にすぎない。俺は平凡パンチにボンボンと生きていける世が必要だって。LOVE&PEACEな世を目指す、俺は0歳から帝王学を学んできたが意味ない。
伴冷泉は無明庵滞在時は25歳。西洋の装いでスーツ姿に髭も剃りナチュラルにアイシャドウを塗りメイクをして脳内が叡智そのもの。
「幽、俺も手を貸す。どうやらこの日本で動乱が襲う。武威主畝だっけ?友禅が騒がしいやり取りも聞いてるなら一理ある。武威主畝は5万年前のオールト彗雲の時以来だ、と」
「お伽噺の類じゃないんだろ?オレの先祖も当時八雲べににと戦った記録はある。応神天皇も苦し塗れだったが当時の神武が八雲べにに勝ったってそりゃ大喜びだぜ」
魔柄応神だ。応神天皇の祖を持ち後に白宮・黒宮・新宮・宵宮家の祖となる人物。無明庵から天寿院家での修行が1860年まで続いた。
――――――1860年・京―――――――
黒いコートに長髪で髭も伸び切った黒髪の青年が京の地に降り立った。
「指令は受けている」
≪今日はツルツル確定だね《Heute ist definitiv bestätigt》さぁ脱ぎなさいな?《Warum ziehst du dich nicht aus?》愛しいキミの下の剛毛は剃った方がイイ《Es ist besser, die Borsten unter dir zu rasieren, Liebes》≫
「サタン?上機嫌だな。お前にとっても約20年振りの京の空気だ」
エンペラーと呼ばれている天神幽に青い焔がメラメラと燃えて浮かび上がっている。ここ京においての暗躍が激しい。
天神幽が舞い戻ってきた1860年代の京の都は殺伐として、尊王攘夷運動と異国を打ち払う運動、公武合体論や帝に返上するなど暗躍や陰謀が渦巻いていた。
≪都の空気はクソマズいよなぁ!?《Die Luft in der Stadt ist so verdammt schlecht!?》≫
青年として成熟したエンペラーにとって
そして、天神幽は織野坂下総守友禅の剣術も完全感覚ドリーマーに叩き覚えたので、抜刀術もお手の物。
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