第4話 涼太(りょうた)の場合
僕はいつも鈍くさい。気が付くと黒板の字が消されていてノートを取りそびれてしまったり、教室移動がぎりぎりになったりしてしまう。
面白いことを言ったつもりはなくても、ワンテンポ遅い発言なことが多いみたいで、みんなに笑われる。それは意地悪な感じではなく「仕方ないなぁ。」といった親しみのこもったものではあるんだけど。
クラスメートのみんなは優しくてノートを見せてくれたり声をかけてくれたりする。それにはとても感謝している。でも、中2にもなって人に頼ってばかりというのも格好悪い気もしてしまう。
自分の力で頑張ってみよう!と思う時もあるけれど、結局助けられてしまうことが多い。その点、同じクラスの梨々花は、とても自立していると思う。
勉強はあまり得意ではないと言っていたけど、いつもちゃきちゃきと行動が速い。そして、運動神経がとても良い。テニス部の部長をしているらしい。自分の足でボールを蹴るサッカーでさえ空ぶることのある僕には、テニスのようにラケットでボールを打つ競技で活躍だなんて夢のまた夢だ。格好いいなぁ。
ああ、梨々花になりたい。
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