第24話
「人がゴミのようね!」
観覧車の頂上で、白鳥は高らかに言った。
「それが言いたかっただけかよ! どこの大佐だよ!」
「……では、高村君、今から少しシリアスな話をするから、馬鹿な会話は止めましょう」
「何だよ、シリアスな話って」
「それは、あなたも分かっているでしょう?」
「…………ああ、分かってるよ」
「あなた、顔に出るのよ。嘘は吐けないタイプね」
「まあな。おれにポーカーフェイスは無理だった。……で、どこから分かってた?」
「清水寺の辺りから」
「即バレじゃねえか」
「どうせ、薫から聞いたのでしょう? 私の幼い頃のこと」
おれは無言で頷く。
「……私は、亡くなった父と母のことが大好きだったわ。父は医者で、仕事が忙しかったけれど、私と母のことをとても愛していてくれていたわ。母は、いつも魔法についてや、わくわくするような御伽噺をしてくれたわ」
白鳥は、穏やかな口調で話している。
「この遊園地にも、両親や薫と一緒に来たことがあるのよ。あの頃は、お化け屋敷で大泣きだったわ。ジェットコースターは身長が足りなくて、乗れなかったけれど。
……本当に楽しかったわ。幸せだった」
聞いていて、胸が切なくなる。
「イギリスに住んでいる御祖母様はね、本物の魔導師であると同時に、優秀な心理学者でもあったわ。だから、マインドコントロールの様な催眠術は得意だったでしょうね。……確かに、私は幼い頃とは全く性格が違うわ。でもね、私は今も楽しいわよ。高村君と一緒に旅行が出来て、私は幸せ者ね」
涙もろいおれは泣きそうになっていた。
「私は、ツンデレだから、よく強がってしまうし、あなたに辛辣な言葉を投げつけてしまうことも事も多々あるわ。それでに、高村君は私と一緒にいてくれたわね。……ありがとう」
「……ツンデレって、自分で言うな」
滅多にデレないくせに。
でも、その貴重なデレを見られるおれも幸せ者だ。
「そういえば、私が何で高村君を下僕に選んだかだけれど……」
「それだよ、それ。どうして、おれなんだよ?」
「下僕っぽい顔をしていたから」
「な、なんだよ、それ。……まあ、いいか」
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