第23話

白鳥の悲鳴が聞きたかったら、ジェットコースターに乗せればいいよ。別に聞きたくて聞いた訳ではないけど。

「いやあああああ」とか「死ぬ死ぬ死ぬ~」とか、壊れたように、叫びまくっていた。

「だ、大丈夫か、白鳥?」

「ど、どうってことないわよ。丁度、叫びたい気分だったのよ」

 涙目のくせに。苦しい言い訳である。

 普段は怖いものなんてありませんという顔をしているが、この表情は、かなりのレア物だ。

 意外なところで、欠点を発見してしまった。

「本当に、叫びたかっただけよっ」

「はいはい、分かってる、分かってる。誰にでも苦手なものはあるさ」


 少し遅めの昼食を食べた後、白鳥が時計を見て言った。

「そろそろ、時間ね」

「そうだな。最後に何か、乗りたいものあるか?」

「……観覧車」

「そりゃまた、最後には持ってこいだな」

「あくまでもデートじゃくて、散歩よ。勘違いしないように」

「へえへえ、分かってますって」

「それに、私、遊園地に来たら、必ず観覧車に乗るって決めているのよ」

「何で?」

「まあ、乗ってみれば分かるわ」


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