第3話
「まもなく京都です」
車内アナウンスが目的地到着を告げる。
「おっ、着いたみたいだな」
おれは荷物を持って立ち上がった、が、他の四人は全く立とうとしない。
「まだ、着いていないわよ」
「いや、だって京都って……」
「私が、いつ京都に行くなんて言ったの?」
「冒頭で言ってただろ? 旅行会社のCMっぽく」
「ああ、あれ? あれは、ただ言ってみただけよ」
「……は?」
新幹線が発車した。
「だ、だったら、おれ達は今どこに向かってるんだ?」
とんだミステリーツアーだ。泊まりってことしか聞かされていない。
「馬鹿ね、高村君。切符を見てみなさい」
ポケットから切符を取り出す。
『名古屋→新大阪』
「し、新大阪って……」
「兄貴、バカ過ぎだろ。気付くだろ、普通」
優にバカにされた。
ていうか、気付かなかったおれ、本当にバカ過ぎだろ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます