第20話~爆発~
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「宮殿への乗り越みは全て完了!いつでも出立は可能にございます!!」
宮殿の入口に聳える柱の前、そこに設けられた玉座に座ったホワイトは、黙って頷くと外の景色を見渡しました。
クリーム色だった空は赤く染まり、ゆらゆらとした靄がかかり始め、もうこの星の寿命を知らせる色々を表していました。
「ホワイト!!!」
その騒然とした空間に、ルナの悲痛な叫び声が響き渡りました。
そして、宙に浮かぶ大きな羽を拡げたルナの腕には、抱きかかえられたまま眠り続ける、エンディの姿がありました。
「また、情けが仇になったか……」
ホワイトは静かに、ふたりの姿を見つめました。
「お願い!エンディを助けて!」
「ルナ、それではお前を護りきれない。エンディはこの星に置いていきなさい」
「そんな事出来ないわ!約束をしたの!ホワイトも私を護ると約束をしたからわかるでしょう!?」
ゴーーーーッ
宮殿は、爆音と共に、ホワイトの意識とリンクしてその星の地から引き剥がされ始めると、宙に大きく浮かび上がり始めました。
「ルナ、早くお前だけ此方に来なさい」
ホワイトが手を翳すと、ルナの腕から羽がゆらゆらと落下する様にエンディがすり抜け、
そして、この終焉の星へと堕ちていきました。
「エンディー!!!」
ルナが悲痛な叫び声をあげると、森の静かな水流からは次々と巨大な水柱が上がり、濁流となった水の怪物が地面を覆うと、エンディの姿を丸飲みするかの様に飲み込んでしまいました。
「いやぁああああああ!!!」
金色の髪を振り乱し、羽をひろげたまま半狂乱に泣き叫ぶルナの身体を、ホワイトは自分の所へ引き寄せ、抱きしめ続けました。
「忘れなさい!もう使命も忘れていい。その為に私は、星の存続を諦めたのだから」
「じゃあ……星の延命を止めたのは……ホワイトなの?私のせいだというの?」
ルナは流れ続ける涙そのままに、顔を歪めながらホワイトの顔を見つめました。
その間にも宮殿という名の船は上昇を続け、ルナは何とかホワイトの腕からすり抜け様と、抵抗し続けました。
「結界を張っている。もう外へは出られない。だからもう大人しく……」
そう言った瞬間、青い鳥が飛んで来たかと思うと、ルナの耳元に向かって小さく囁きました。
「ルナ、私だけはお前の味方」
パキラが変身したその青い鳥は、すかさずルナの身体を纏わりつく様に横切ると、宮殿の周囲に張られたバリアを嘴でつつき始めました。
「ホワイト……私を生み出してくれて有り難う………」
ルナは、一瞬怯んだホワイトの腕からするりと身体をすり抜けると、。ゆっくりとホワイトに向かって振り返りました。
ルナは大粒の涙を零しながら、それでいて、柔らかな笑顔でありました。
「ルナ………」
ホワイトが右手を差し出したその瞬間、ルナはパキラが嘴でつついて出来た、小さなヒビに向かって飛び込んで行きました。
結界のヒビは一瞬で大きな亀裂を走らせ、ルナを吸い込む様に受け入れました。
「ルナ!!!」
ホワイトが更に右手を翳すと、すかさず青い鳥から元に戻ったパキラが、目の前へと立ちはだかりました。
「さぁ行きましょうホワイト。ルナの事なんて忘れて、私達の新天地【プルートー】へ」
*
ルナは羽を納めた身体で落下しながら、両手を大きく拡げました。
生を受けたこの星を抱きしめるべく、大きく拡げました。
エンディを飲み込んだ、この暴走を始めた星の事が、今は愛しくて仕方がありませんでした。
𓆩 ✧ 𓆪
星と共に爆発をしたら、どうなるのだろう
永遠を約束された魂は消えて、消滅するのだろうか
それとも、散り散りに欠片となって
この広大な宇宙に漂うのだろうか
そう考えた時に、何も知らない無知な自分が
とてもおかしくなりました
目の前には
もはや荒れ狂う水の化け物と化した
故郷の姿がありました
その姿はとても恐ろしく
そして、とても美しくもありました
そしてルナは、ゆっくり目を閉じると
その化け物に飲み込まれていきました
その瞬間、厳かな目映い光が周囲を包み込み
無音という音を、周囲に響かせながら
その星の命は尽きたのでした。
𓆩 ✧ 𓆪
ボク(エンディ【50%】)『ねぇ、ホワイト聞こえてる?』
ホワイト(オリジナル)『勿論』
ボク(エンディ【50%】)『やっと、辿り着いたねボクちゃん、感無量だよ』
ホワイト(レプリカ)『確かに』
エンディ【51%】『さぁ、時間だ』
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ルナ 豊 海人 @kaitoyutaka
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