花野子さんの日記帳。

山下 巳花

序章

 祖母の右腕の骨折が切っ掛けで、急遽、母方の祖父母が我が家に越して来る事が決まった。

 

 とは言え、大人達の間では数年前から同居の話は上がっていたみたいで。

 だけど、祖母がなかなか首を縦に振らなかった為、今日迄延び延びになっていたんだとか。


 そんな祖母も、「骨折で家事が儘ならない」という物理的な理由が発生した為、今回ばかりは逆らえなかったんだと思う。

 祖父は家事が全くできない。

 

 それでも、「腕が治る迄、世話になる。治ったら、帰る」、と祖母は最後の最後迄抵抗していたのだけれど、祖父の「人生の最後を孫と一緒に過ごすのも、いいじゃないか」という提案に、とうとう降参してしまった。

 

 急遽決まった同居だったのでとりあえず、二人は身の回りの必要な物だけを持ってやって来た。

 

 秋も中盤に差し掛かった頃の事だった。

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