「視覚野」におそわれた!
ぼくは大型ショッピングモールのフードコートでご飯をたべていた。
天津飯である。非常においしい。
卵のとろみがなんともである・・・っ!
あまりの味覚と触覚の感動で脳の奥がぐらつく感覚があった。
と同時に見えてるものがぐらついた。
ああ、感動とは様々な感覚を刺激するものなのだなと。
しかしどうやら違った。
天津飯に二口目をつけようとしたとき、ぼくの後頭部あたりがぷるぷるとふるえている感覚があった。そして、私が見ているすべてのものが乱雑にゆれている!
ぼくの視覚野がぴょんぴょんはねている!
もう我慢の限界だった。
視覚野がガンガンぼくの頭を打ち付けてくる
うわあわああ!やめろ、やめてくれ!いたいいたいたいたいいたい!!
視覚野がうねる。視覚野は他の脳の領域を侵食する。
ひどく酔ってきた。酷道をひたすらに走っているようだ。
視覚野は他の脳の領域とをブチブチとひき裂き、後頭部からとびだしてきた。
視覚野には手足が生えていた。どうやら空中を歩けるらしい。
「うわ、やめろ!そんなことしたら人がびっくりするじゃないか!」
「うるさい!もうあんたの脳せまいしヤダ!」
視覚野はそれっきり出ていってしまった。
私の頭の後ろからは血管や脳がはみ出していた。
ああ、恥ずかしい…。こんなの人様に見られたくない。
私は視覚がつかえなくなったので、代わりに聴覚野を代用した。
目で見たものがすべて音となって聞こえる。
「ねえママ!あの人、頭がペロブスカイト太陽電池みたい!」
「サンスクリット語で「今日もふたたびマタタビ北ぎつね」って書いてあるわね」
「おーそこのお兄さん!サインもらえますか!」
なんだよこれ…なんなんだよこれ!!ぼくが勇者になったみたいじゃないか!?いいのか、こんな嬉しいことバカリが続いていて!?
ぼくは有頂天になっていた。ひゃっほーい!
ぼくの視覚野がレジに並んでいた
「おい!オレといっしょに、パトロールに行かないか!」
ぼくのいとこがぼくの視覚野をナンパしていた。
やめろ、やめろおおおおお!!
グチャ!
いきなりうしろからホイップクリームをぶちこまれた。
「おータクヤくん、元気しとったか?おじさん心配したぞったくもう。」
おじさんはこのショッピングモールにある医者に行ってぼくを治療してもらえるように頼んでいたらしい。
ああ、良かった。これで元気になれる。
「タクヤくんだったっけ?純度50%のホイップクリームを視覚野の代わりにつめてあげたよ」
いやいやいや、あと残り50%なんなんだよ。
「金と銀と銅だよ、タ・ク・ヤ・く・ん」
「ひゃあああああああ!ぼくもうオリンピック選手じゃん!うれしいよ、うれしいよママ!ありがとう!」
「ちなみにぼくはママじゃなくてカエルだよ、カ・エ・ル」
いやしらんがな。
ぼくは天使になった。
空はとても広くて、明るく甘いものだった。
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