おそわれた!シリーズ

パセリ

「刺し身」におそわれた!

スーパーに行ったら刺し身におそわれた。

刺し身は空中をさまよっていた。

ぶりの刺し身にペシペシされた。

サーモンにはカンチョーされた。

たいとは一体化した。

非常に不愉快だ。

帰ることにした。

そしたらマグロの刺し身に言われた

「あんた、勝手にパックから取り出しといて買わないはないだろ?」

なんのことだろうか?わたしは夢を見ているのかもしれない。

そうおもって家に帰って寝た。

寝て起きたらあたり一面刺し身だらけになっていた。

刺し身以外に視界には何もなかった。

私はため息をついた。

もう少し寝とけばよかったという後悔。

私はそばに落ちていた切り餅で空間を切り裂いた。

割れ目ができた。みるみるうちに刺し身たちが空間の穴から出て丸まっていく。

そうして空間は真っ黒になった。刺し身の塊とこんなところに閉じこもっているのは嫌だなあ。

そんなことをおもっていると、刺し身の塊から包丁が出てきた。

なるほど。

楽になった。

私はまな板の上に乗っていた。

私は解体された。

私は刺し身となった。

私は陳列された。

私はわたしを襲っていた。

もしまたこの世界を泳げたら、それはとても嬉しいこと。

青かった日々を懐かしくおもった。

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