おそわれた!シリーズ
パセリ
「刺し身」におそわれた!
スーパーに行ったら刺し身におそわれた。
刺し身は空中をさまよっていた。
ぶりの刺し身にペシペシされた。
サーモンにはカンチョーされた。
たいとは一体化した。
非常に不愉快だ。
帰ることにした。
そしたらマグロの刺し身に言われた
「あんた、勝手にパックから取り出しといて買わないはないだろ?」
なんのことだろうか?わたしは夢を見ているのかもしれない。
そうおもって家に帰って寝た。
寝て起きたらあたり一面刺し身だらけになっていた。
刺し身以外に視界には何もなかった。
私はため息をついた。
もう少し寝とけばよかったという後悔。
私はそばに落ちていた切り餅で空間を切り裂いた。
割れ目ができた。みるみるうちに刺し身たちが空間の穴から出て丸まっていく。
そうして空間は真っ黒になった。刺し身の塊とこんなところに閉じこもっているのは嫌だなあ。
そんなことをおもっていると、刺し身の塊から包丁が出てきた。
なるほど。
楽になった。
私はまな板の上に乗っていた。
私は解体された。
私は刺し身となった。
私は陳列された。
私はわたしを襲っていた。
もしまたこの世界を泳げたら、それはとても嬉しいこと。
青かった日々を懐かしくおもった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます