第459話 さすがに言えない

田舎でも新型コロナに罹る人もうちだけじゃなく出てきている訳だから、「この間、罹っちゃってねー」と言えそうな気もしなくもないが、やっぱり言えない。


夫が検査後にすぐに職場に連絡していることから、職場関係の人は夫婦で罹ったことは知ってるが、ご近所さんにはね。

ずっと車もバイクも出かけていかないから、怪しいなとは思われていたはず。

訊かれないから言わなくてもいいかなと、今は思っている。


緊急事態宣言が出ていた頃は、本当に感染者は、なに出歩いてるんだ、そんな不用心だから罹るんだと責められ、療養施設から逃げた人間は逃亡犯みたいに言われたものだが、田舎でもなかなかスゴイ言われようで、「絶対罹ってはならないな」と思ったもんですよ。


隣り合う街で一家で感染したらしいと聞けば、どこでその一家は買い物しているんだ、学校はどこだ、職場はどうなってるみたいに言い、実際自治体に連絡する人間も出てくる始末。

まあ、そっち方面には買い物に出かけないようにしておこうと私は思うくらい。


家に石を投げられるとか、放火されるかもしれないというくらいの怖い責め方する人たちが多かったですよ。

それを知っているから、今でも言わない方がいいだろうなと思うので。


高齢者の割合も高いから、心配になる気持ちは理解はする。


うちなんかここが出身地ではないから、何かあったら本当に嫌がらせされかねないなと。

なので、やっぱり言わないでおこうかな。


街の人はわりと、子どもが学校で貰ってくるとか、夫が職場で貰ってくるとか聞くのに、まだ田舎ではそこまでではないからね。

感覚としては、もうインフルエンザくらいの気持ちかとは思うのだけれど、感染者数が少ない田舎だと、まだ緊急事態宣言が出ている間と変わらないのかもしれないし。


夫の職場で最初に出た時も、かん口令が敷かれた感じだった。

感染者の情報が外に出たら、その人もどういう目に遭うかわからないからかな。

今も変わらないと思って過ごした方が、私たちも安全かもしれない。

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