第437話 甘い何か 塩っぽい何か

のど飴も何か甘いが、何味が特定できず。

冷凍チャーハンをレンジで解凍して食べるが、塩味らしき重さを感じるだけで旨味などがわからない。


それでも一刻も早い回復のために、平熱になってる間に通常の食事の半量くらいを食べる。

美味しいと感じないから辛いが、義務感みたいなもの。


夫は美味しく感じられないのが辛いのか、なかなか食べない。

育ちもいいからなあ。


私は母が料理が壊滅的な人だったから、焦げていれば剥がして、生だったらレンジで再加熱して、塩や醤油を足したらそこは叱れたから、何かわからない薄味のものを食べるのは慣れていたのだ。

お腹にたまればよし。栄養価があれば尚よし、くらいの子ども時代。

だから、無味無臭の世界になっても食べられるのだ。


実験がてら、冷蔵庫にあるものを少しずつ食べていく。


無糖のヨーグルトは、甘さと旨味のない、まったりとした酸っぱい何か。

塩ゆでしただだちゃ豆は、味なし。

牛乳は、やや甘さらしきものを感じるがかげろうのように儚い。

カフェオレにしてみると、ただただコーヒーの苦みだけを感じた。


グレープフルーツを1つだけ買ってあるのだけれど、剥いて食べたらどう感じるのだろう?

勿体ないから、治ってから剥きたいが、興味が出てくる。


ホットケーキでも焼いて食べてみようか。


こんなことを考えられるようになってきたのは、私が治りつつあるということだ。

夫は寝込んだままだ。

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