第280話 怖い事件

既に被害者も確認されて、散弾銃と刃物を持った男が立てこもっているという事件を動画ニュースで見たのだが、道の狭い住宅街をタクシーだか社用車だかで立てこもっている家に近づこうとする記者を見て、怖いなあと思ったのだった。

もちろん事件そのものも怖いのだが。


警察によって付近は立ち入り禁止となっており、Uターンを求められるのだが、車の行き違いも困難な道の狭さ。

平気で私有地で車を切り返す始末で、悪いと思っていないのかそのまま動画で流しているくらいで、マスコミの傲慢さや空気の読めなさにがっかりする。


まだ事態がどうなっているのか確認が取れていないのに、事件現場を押さえたいためだけに付近の住人には外出させないように要請があるところを自分たちには特権があると考えているのだろうか。

巻き込まれるかもしれないし、事態を正確に把握するために邪魔になるからというのが本質的にわからないのだろう。


衝撃映像が欲しいのか。もしもそれが録れたとしても流せないだろうに。

すぐヘリコプターを飛ばすけれど、そこまでしなくてもと思う。

意識高いふりしているんだから、そこに暮らす人に圧力をかけるのもダメだし、環境にもよくない。

どうしてもというのなら、全社で話し合って代表一社で我慢してほしいところ。


今はグーグルでだいたいわかるのだから、醜悪なスピード感なんか要らないんだよ。


多分、このニュースはしばらく続くと思うので、テレビもしばらく見ないだろうな。

現場近くで興奮した口調の記者なんか見たくもないし。


昔々、豊田商事会長刺殺事件が起きたが、あんまりその頃とマスコミも変わらないなあと思ったのだった。

あれは子ども心に恐ろしく、私は未だにスプラッターな映画は苦手である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る