第266話 お散歩

田舎あるあるかもしれないが、何もない所を健康の為に歩いている人は多い。

朝も昼も夜も外出して、ずっと歩いている人というのもいる。

何も家ですることもないだろうし、気分転換なのかなと思っていた。


自治会の役員さんなんかにお話を聞くと、認知症が入っている人が多いらしくて、これからはあまりに遠い場所に行っていたり、天候が悪い時は思い切って声をかけよう。

何かあったとしたら見落とした自分が嫌になりそうだからね。


そんな人たちが地域から出られるほどは健脚ではないと思うので、洗濯物を干したり草刈りする時に注意して観察しておこう。


最近よく見かける近所の方が杖をついてどんどん一人で歩いていく様子がちょっとひっかかっていて、今回他の方からその方が認知症ときいて納得したのだった。

軽い立ち話でも少し会話が噛み合わなくて、とりあえず笑顔で対応する。

高齢になるほどどんなにしっかりした人でも、会話の面白さやテンポなどが変わってきて、思ったようなキャッチボールにならなかったりするものだ。

そう思っているから、たまに会う人だと認知症というよりちょっとした物忘れとかと勘違いしてしまっていた。わからないものなのだな。


女性だと散歩に押して出かけていた手押し車と傘をあちこちに置いて帰ってくるらしくて、私も車で出かける時に変な場所に置いてあるのを何回か見たことがある。

夜なのにポツンと人気のない場所に置いてあったり、雨ざらしだったり。

そんなことが増えてきたら、自治会の役員さんたちから連絡がいくのか離れて暮らすご家族が引き取っていくか、特養に入るようで、地域からはいなくなってしまう。


まだお散歩している人がいる分は田舎もにぎやかではある。

子どもの数は前々から少なくて、うちの近所では子どものお散歩はほぼ見ないのだ。

お散歩は高齢者ばかり。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る