第185話  車があると

車が家の前にとまっていると在宅だとバレるのは田舎。

街だと他の手段で出かけていることも多く、車があっても外出中ということもあるから、車のあるなしでは判断しない。


車がとまっているから、体調崩して寝込んでいても、たいした用事でもないのにわざわざうちに来る人がいたりして困る。


うちに荷物が届くとか集金に来るとか、そういう用事でくる人間ではなくて、荷物を配達する業者(大手や郵便局ではない)や営業マンなんかが、

「〇〇さんちに行きたいんだけど、どこですか?」と来ると、やや腹が立つ。


目的の家を教えても「ああ、そこなんだ。わかったわ。」とお礼も言わないのも多いし、わからないならその目的の家に電話して訊け!と思うのだ。

車があって在宅だからとみんなに親切にするのは義務じゃないんだ。


ご近所の方に「畑で作った野菜なの。食べてね。」といただくのは嬉しい。

そういうことよりも「△△ってどこ?」と言ってくる人が圧倒的に多いからなあ。


車を出す時も車で帰ってくる時も、一時期、同じ場所に立ってこちらをずっと見てくる高齢の方がいて、(あの人暇なのかなあ)と思っていたのだが、どうもうちの車に乗せて貰いたいという意思表示だったらしく、トラブルになるのも嫌だから(これは私にしか見えないおばあちゃん妖精)と思うことにして知らん顔し続けた。

発進時も停車時も特に気を付けて運転した。


それまで挨拶してもあまり返ってこなかったのに、それくらいからあちらから積極的に挨拶されるようになって妙な感じだった。


心理戦がしばらく続いて、あちらも諦めたのかあちらの親族の車がやってくるようになった。

家の前に立たれる日が来なくて良かったとほっとした。

はっきりと「乗せて行って貰える?」と聞かれたのなら、断るのは確定だけどね。


永く住んでいる方からも、「変に仏心出しちゃだめ。タクシー以上にあちこち行かされて、お礼は言葉だけで次も期待されるから乗せないのが一番。困ったらタクシー呼ぶか、親族呼ぶから。」と言われている。お互い様とよく言うが、お互い様にならなかったんでしょうねえ。




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