第159話 木

ご近所の庭に椿が植わっていて、毎年のようにチャドクガが発生している。

冬に咲く花としては美しく、雪の中で赤く輝いているのを見るのも好きだ。

椿は、花がぼとっと首から落ちることから、あまり縁起のいい花ではないと言われているが、絵になる花だと思う。

花を落として風に吹かれて、我が家の小さい庭に花びらや花そのものが転がってくることがある。赤い色ははっとする。


比較的好きな花ではあるものの花の時期以外は、なるべく近くを通らないようにしている。

チャドクガが怖いから。


毎年、チャドクガをあちこちで見るなあと調べてみると、椿が植わっている庭がご近所に多いからのよう。

壁一面チャドクガが張り付いているという空き家もあって油断できない。

あの毛が体についたら、また病院行きである。


何年か前に、うちの庭にチャドクガがみっちり着いた葉っぱが落ちていて魂消た。

よく見たら、うちの庭の木の葉っぱで、木をよく確かめたらチャドクガが大量にいたのだった。

すぐさま毛虫用の殺虫剤を買って、たっぷり噴射した。


これで安心かと思ったら、噴射後に天に召されたチャドクガを回収しないと結局は庭は危険なままだということに気が付いてしまった。

どんな状態でもあの毛がダメなままだから、チャドクガを回収して密閉して廃棄しないとダメらしい。


どうしようと思いながらもそのままその一角を放置し続けている。

チャドクガが出現する木は椿以外もあるんだということ、うちの庭の木がその椿以外であること、でもその庭の木の種類がなんなのか未だにわからないこと。

枯れるのを覚悟して、ほとんどの枝を落とした年もあったが、すぐ復活するくらい成長するのが早く強い木が一体何の木なのか、今年は調べようと思う。


葉っぱの形や枝の付き方などで同定できそうな気もするが、学生時代からそういう作業が私は得意ではないから、夫にも一緒に調べてもらおう。


椿ではない。花は咲かなかったはず。

うちの庭の木はずっと前に住んでいた人が植えていったものや、建物が建った時に植えたものなどが混在していて、何が何やらわからない状態なのだ。


どこかに南方の実をつける木が植わっていると聞いたことがあるが、私が何もわからずにかなりどれも刈り込んだから、実をつけるような状態になったこともない。

それかなと思われる低木はあるが、これも何かわからないまま。


図書館で庭木の本でも借りてこようか。それともネットで調べてみようか。






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