第153話 野焼き

田んぼや畑がたくさんあるから、農作業などで出たゴミを集めて燃やしてしまうという「野焼き」が今でも普通に行われている。


でも、本当は違法になっていて、見つけたら通報してもいいらしいことは知っている。迷惑にならない範囲であればセーフらしいが、煙やニオイがたちこめている状態になっていて周辺住民が迷惑であればアウトみたいだ。

かなり離れた場所でやっている「野焼き」であっても、すぐにやっていることがわかるから、基本的にはアウトじゃないかなと私は思う。

田んぼや畑にとっては、その場所で野焼きをすることでメリットもあるそうだから、後から来た人間には文句はいえない。


雨が続いてパッと晴れた日に大量の洗濯物を干していたら、野焼きの煙がこちらに流れてきていて、急いで取り込むなんてことも少なくない。

BBQもそうだが、燃焼系のニオイはなかなかとれないのだ。

そして、煙は話題になっているpm2.5を発生させるので、アレルギー持ちや呼吸器系が弱い人間には避けるべきものである。

咳が止まらなくなってしまうこともあるしね。


一度かなり怖いことがあった。

うちからかなり近い場所で野焼きをして、それが日が暮れても燃え続けて、煙がずっと出続けていたのだ。

夜中になっても匂いがおさまらなくて、窓から野焼き現場を覗いてみたのだ。


火が落ちておらず、闇の中に赤い光が見えていた。

風は住宅の方へ吹いているのと、火が消えるのも確認せずに野焼きをした人間が帰っていっていることに腹が立って、バケツに水を汲んで消しに行った。


燃え尽きたら勝手に消えるわと判断して、日中に火をつけて帰ったのだと思うが、地元の人が密集しているような場所の田んぼや畑でそんなことをするわけでもなく、これは後から来た私たちみたいなよそ者だから文句も言わないだろうなという気持ちでやったことだろうなと思うと、腹が立つというより絶望に近い気持ちになったよ。

軽く扱うのはいいとしても、これ、火事になりかねない行為だから。


次にこんなことがあったら、迷わず通報しようと思った。

からっからに晴れていた夜なのに、枯れ草の山にたっぷりの水が撒いてあることに野焼きをした人は必ず気付くはずなのに謝りにも来なかったくらいだから、それでよかろう。


それ以降、うちからすぐ見える近くでは野焼きはない。

遠くではしょっちゅうやってはいる。


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