第146話 厚底ブーツ

昔、安室ちゃんが履いていたそれではなくて、バイク用のブーツのお話。


バイクは昔ほど座面が低くはなくなっていて、どうも欧米人規格になっているようで、日本人で昭和生まれの平均身長より少し高めの女性では、バイクに乗ると踵がつかないということになってしまうのだ。

免許を取る前にショップでバイクにいくつか跨ってみたが、どれもこれも踵はつかなかった。教習車と大違いだった。

踵がつかないといざという時に踏ん張れなくて危ないし、転ばなくても信号待ちの度につま先立ちになるとふくらはぎがつりかけてくるから、あまりよろしくはない。

私のバイクも最初はつま先立ちで乗っていて、妙に疲れていた。


そういうことがないようにと、バイク用に厚底ブーツがあるのだ。


オシャレ用の厚底ブーツとは違い、シフトチェンジする部分には革が重ねて貼ってあるし、踵は斜めにカットされている。

結んだ紐も邪魔にならないように固定できるようになっている。


これを履くと、足が長くなった気分。

あまり長時間歩くと疲れるが、少し店内などを歩くくらいなら問題はない。


図書館に寄って、帰りに少し買い物をということで、バイクに乗って出かけてみた。

厚底ブーツを履いてだ。


やや目線が高くなって、気分がいい。

これはヒールの高い靴を履いた時のような高揚感。


いつもはクロックスやスニーカーを履いていて、ブーツを履くとなっても目線が数cm上がるだけなのだけれど、少し世界が違うように感じる。


普段履きにはしない。

道路も街とは違って、耕運機が通った後なんかは泥だらけだったりするから。

暖かくなってくると動物の落とし物も増えてきて、ちょっとゴミを出しにいくだけでも、地雷だらけで注意が必要になるから。

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