第82話 恐怖の細菌

マイコプラズマ肺炎で入院した子がいるよ、怖い細菌だよとなんとなく情報は

自分の中にはあったが、あまりピンとはきていなかった。


うちは田舎の中のさらに田舎。

もう幼稚園や小学校に通う年齢の子はいない。

大人だけになれば、何かおかしなウイルスや細菌もそうそう貰ってくることも

ないだろうと楽観視していた。


これが悲しいことに夫が職場で貰ってきたのだ。

最初は厄介な風邪だなあと思っていたが、高い熱が出て、激しい咳が続く。

咳や痰のせいで夜に寝付けない。


何度も家族で病院に通い、薬も出してもらったが、飲み切っても変化はない。

寝られない。

熱が下がってから夫は出勤していったけれど、激しい咳がおさまらないから

「帰って」と返されてくる日もあった。


薬もいろいろと試してもらったがダメ。

もう夜眠れないものとして、家族で動画を見たりしていた。


1ヶ月ほど経った頃だろうか、夫の職場で最初に風邪をひいた人がぽつりと

「マイコプラズマだった」と言い、急いでまた病院に行き、

そういう対応をお願いして薬を出してもらったが、時間が経ち過ぎているのか

急激に良くなるみたいなこともなかった。残念。


前に私は咳喘息になり、吸入の薬を貰ったことがあったが、その時は

本当に劇的に楽になったから、マイコプラズマと特定されたらそれくらいに

すっと良くなるものだと期待していた。

薬は変わったけれど、息苦しいのも痰がでるのも寝られないのも改善せず。


薬も今は処方箋を持って薬局へ持っていき、処方してもらわないとならない。

待っている時間も薬剤師さんと話す時間も辛くて気分が落ちてくる。

話始めると咳も出るから。


今のはやり病も喉が痛くて熱も高くて咳が出るそうだけれど、このマイコプラズマは

本当に死ぬんじゃないかと思うくらいに辛かったので、同時に罹ったら確実に

命を失うなと思っている。


治ってから半年くらい駆け足もできないくらい、肺も弱っていた。


車移動の田舎でよかった。悪い病気と疑いたくなるほどの激しい咳が続くし、

咳のし過ぎで一瞬酸欠で気が遠くなることもあったから。

普通に電車に乗っていて、ここまで咳をしたら、多分周りから人がひいていくだろう。


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