第81話 緊急事態宣言
例のはやり病で、めったやたらに出かけてはいけませんよということになった際、
田舎ではどうだったか、忘れないうちに書き留めておこうと思う。
高齢者が多い過疎地であるので、子どもが学校へ通っていそうな若い世代と
スーパーなんかで出会うと、おじいさんやおばあさんたちは若者を病原菌のように
避けた。
…そうはいっても、そもそも同居世帯ばかりなんだから、自分の家から感染者が出る可能性もあるんじゃないの?と思わなくもない。
実際、もっと後になってから、孫が学校から貰ってくる家も出てきていたし。
レジ前もしっかりソーシャルディスタンス。
これまでぐいぐい背中に触れるくらい近くに立っているような高齢者が多かったのに
ちゃんと足元の表示に従って距離をとってくれていた。
ワクチンを田舎の高齢者から接種できるようになって、接種済みの人間が増えるのに
比例して、これまでどおりにレジ前で詰めてくる高齢者も増えてくる。
わかりやすいなと苦笑い。
街の人も子どもを学校を休ませてまで、空いているだろうと田舎へ遊びに来ていた。
車のナンバーでわかる。
そして、田舎の感染者数がほぼゼロなのをわかっているから、ここぞとばかりに
ノーマスクで歩いている。集団で大声で騒ぐ。
誰も近づかないし、感染リスクもほぼ0だろうからマスクは必要ないかもしれないが、こういう自由すぎる団体って、この先の行動が信用ならないかな。
遊びに行った先の田舎でウイルスを貰ってくる可能性はないが、そこまで移動することで事故に遭ったりしたら、うちの家族はわりと非常識に生きていますと露呈するのに、そこは心配しないんだと。
私は買い物に行くスーパーを、観光客があまりこない道路沿いのスーパーの方にして
身も心も不快にならないように努めた。
8割9割の人がマスクをして手洗いうがいをし、なるべく外には出ないようにしていたと思うが、自由奔放というかちょっと普通の感覚ではない人がいるんだなというのを
知ることが出来た期間だった。
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