第40話 東奴隷事情
ある程度拠点の防衛を確保した次の日。
ふと、2人が奴隷になった経緯が気になった。
朝食を持って異世界へ。
「おはよう。朝食持ってきたよ」
3人からそれぞれ挨拶をもらって、朝食を渡す。
俺もこちらで朝食を取った。
みんな食べ終わり、食休み中に気になっていたことを聞いてみた。
「ふと気になったんだけど、フィオナとリンはどうして奴隷になったの?」
「あぁ……。この国は戦争してるんだよ」
「え? 戦争してるの? どこと?」
「国外じゃないさ。内戦だよ」
「内戦?」
「東と西で戦争してるのさ」
フィオナに東の地図を描いてもらうと、日本の北海道、本州、四国、九州がくっ付いたような地図になった。
フィオナは、日本の大阪辺りで、縦に線を入れた。
「こっちが西軍、こっちが東軍で分かれて戦争してるのさ」
「まさに戦国時代ってやつだねぇ……」
「言い得て妙だね。その通りさ。あたしは東軍の領地で、丁度両軍がぶつかり合っている近くに住んでいたのさ。それで徴収が厳しくてね……孫を売るくらいなら年老いた自分がってことで身売りしたのさ」
「わっちは、西軍の領地で同じように身売りしたんです」
「そうなんだ……ここは大丈夫なの?」
「それは心配ないさね。ここは東のだいぶ西に位置してるからね。東軍がよっぽど勢力を増して攻めて来なけりゃ問題ないさ」
「それなら良かったけど、フィオナはここら辺じゃ風当たりが強いんじゃない?」
「いや、そうでもないよ。狼人族は各地に散らばっているから、あたしが東軍の領地出身なんてわかりゃしないよ」
「なんかこの国も複雑なんだね」
「まぁ東って国は、魔物の脅威ってのが少ないからね。領地を争って暇を潰しているのさ」
「なんともまぁ無駄な暇つぶしもあったもんだねぇ」
「本当だよ。あたしらは、腹一杯食えて、眠れりゃそれで良いのにさ……困ったもんだよ」
「わっちの住んでいた所も同じような考えでしたね」
「この国に住んでる人達より自分の利益を追求しちゃったかぁ。どっちが勝っても、最終的には民衆に反乱されそうだね」
「……旦那様は怖いこと言うね。ま、そういうことも起きそうではあるけどさ」
「いっそ主人様が統一ないさますか?」
「リンさんや、そんな怖いこと言わないでよ。ま、俺のいる世界の人間が来たら、本当にそうなるかもしれないけどね」
「ッ!? だ、旦那様のいる世界の人間がこっちにくるのかい!?」
「うん。もうどっかに居るんじゃないかな? 向こうからこっちへ来る場所はランダムだから、東に居てもおかしくないよ?」
「そんな人間が来ちまったら、勢力が一気に変わっちまうね……」
「ま、民族意識的には、平和主義なんだけどね? ただ欲望に忠実な人間もいるし、どこか頭のネジがぶっ飛んでる人もいるからねぇ……そんな奴が来ちゃったら、あっという間だろうね」
3人とも絶句している。
「あ、配信っていう俺達の世界の人間が観れるのがあるんだけど、それで呼びかけてみる?」
「はいしん? なんだいそれは?」
「こっちで言うとなんだろう? 誰でも見れるやつなんだけど……かわらばん? 新聞? ニュース? 掲示板? どれか伝わった?」
「あぁ、かわらばんと掲示板はわかったよ」
「わっちも同じですね。情報を伝える方法が、その『はいしん』という物なんですね?」
「そう、そんな感じ。こっちに来ても、出来るだけ血を流さないように統一して! とか、村や町から略奪や強姦しないで! とか言いたいことは一応伝えることが出来るかもしれないけど……今のフィオナやリンを見たら、逆にテイム目当てにいっぱい来ちゃうかもしれないけどね」
「こんなババアを見てかい?」
「いやいや、若くなってるじゃん」
「あぁ、そうだったね」
「主様の世界は、そんなに飢えているのですか?」
「まぁね……欲望の塊って言っても過言ではないね。例えばドワーフの女の子を複数所持して、陵辱しているって言えば理解出来るかな?」
3人とも絶句です。
「そんな奴がいる世界なんだよ。もし、ここにいる3人が、そんな奴に知られたら、どんなことが起こるか俺にも分からないんだよね」
「さすがにそんなことは起きやしないだろ? 鑑定や水晶鑑定だってこの世界にはあるんだからさ」
「うーん……テイムしてダンジョンに連れ帰ったら、分からないんじゃない?」
あー、3人とも固まっちゃった。
ま、どんなことでも抜け道はあるよね。
「本当、旦那様に買ってもらえてあたし達は幸せだったよ……」
「わっちも、そう思います……」
「私もです。シゲオ様、ありがとうございます」
……言えないけど、たぶん奴隷契約を上書きする形でテイム出来る気がするんだよね。
もし、ここに俺と同じダンジョン出身者が来てテイムされたら、どうしようもないんだよな。
そう考えると、3人ともテイムしちゃいたい気持ちが強くなるんだけど……そう考えると配信は無しだな。
「言い出しておいて、申し訳ないけど、やっぱみんなが心配だから配信はやめておくよ。もし故郷に何かあれば助けに行くから、それぞれの故郷に手紙でも送っておいてよ。宛先は港町の商業ギルドでさ」
「あ、私の両親はすでに亡くなっておりますので、問題ございません」
「そうだったんだ……ごめんねアンナ」
「いえいえ、もう小さい頃の話ですので、気になさらないでください」
そうかぁ、大変だったんだね。
思わず、アンナの手を両手で握っていた。
見つめ合う俺とアンナ。
『ん“ッん”ッ』
わざとらしい、2人の咳払いで、手を離す。
いやだって、小さい頃から1人で頑張って来たんだよ?
そりゃ、あぁアンナ……って気持ちになるでしょ!?
抱きしめなかっただけマシじゃない?
「じゃあ、便箋と封筒と書く物を持ってくるよ。ちょっと待っててね」
俺はダンジョンに戻り、ショップから購入した。
フィオナとリンに、便箋とボールペンを渡し書いてもらった。
封筒にも宛先を書いてもらって、付属していたシールで封をした。
「よし。これから港町に行って出して来るね」
3人に見送ってもらい、港町に向かった。
いやぁ身体強化使うと速い速い。
1時間くらいで着いたんじゃないだろうか。
商業ギルドで配達を依頼して、もし手紙が来たら、廃村へと届けてもらうようにお金を渡しておいた。
まだ時間があったので、市場で新鮮な魚や肉を購入して、村に戻った。
フィオナとリンに手紙を出したこと、もし手紙が来たらこの村に配達を依頼したことを話して、ダンジョンへ帰還。
今日買った食材を桜に渡して保管してもらった。
話をしていると、どうやらせっちゃんと桜は、ミスリルバグを倒していたようだ。
魔石は、どんどん食べなさい方針なので、2人で分けたようだ。
夕飯は、煮カツ丼だった。
美味ーーーーーい!
俺、煮カツ丼好きなんだよ。
出来上がりを見た時に、桜愛してるっと抱きしめてしまったほどに。
異世界組にも渡して食べてもらった。
3人とも好評だった。
久しぶりに、煮カツ丼を食べた俺は、幸せに包まれて就寝した。
ソースカツ丼は、ソース次第で変わるけど、キャベツとトンカツとソースってのも捨て難いよなぁ……と思いながら夢の中へ旅立った。
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現在の主人公装備一覧
初心者の剣
初心者の木の盾
ウエットスーツ一式
ミスリルの短剣
ミスリルの剣
ミスリルのカイトシールド
ミスリルコンポジットボウ
ミスリルハーフプレートメイル
ミスリルアームガード
ミスリルグリーブ
ウルフマント
リザードマンの皮手袋
スノーシュー
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スキル一覧
テイム
体術
短剣術
長剣術
盾術
弓術
魔力
魔力操作
魔力向上
上級回復魔法
(回復魔法には、解毒などの魔法も含む)
生活魔法
補助魔法
身体強化
腕力上昇
脚力上昇
体力向上
回避補正
鷹の目
鑑定
錬金術
収納
矢弾作成
水中行動
気配察知
異世界言語
冷寒耐性
熱暑耐性
ダンジョン帰還
遮音結界
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持ち物一覧
若返りの薬
チェーンソー
ミスリルの両手剣
ミスリルの槍
ミスリルタワーシールド
ミスリルの腕輪
ガーネットとミスリルのネックレス
隠者のローブ
ツルハシ 3本
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設備一覧
内装 ロッジ風
初心者物干しセット
鍛治設備一式
小さな個室
トイレ
脱衣所付き風呂場(洗濯機、洗面台は脱衣所)
冷蔵庫
キッチン設備一式
大きな座卓一式
配信用カメラ
ブルーレイ対応液晶テレビ
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従魔一覧
ヴァルキリー風ゴーレム(せっちゃん)
念話、食事
ドワーフ(ラズ)
鍛治能力向上
リリス(トワさん)
拘束魔法、拘束魔法強化
ヴァンパイア(桜)
異空間収納、料理
アンナ 赤髪ロング (異世界奴隷)
フィオナ 狼人族
リン 狐人族 シロとクロ
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ミスリルバグ 8体 Dポイント +4,000
便箋、食材等 Dポイント 500
残 Dポイント 52,615
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