第37話 新たな奴隷と拠点
次の日、諸々を済ませて、アンナと商業ギルドへ向かった。
そこで色々な話を聞かせてもらった。
まず、大陸の硬貨と東の硬貨は同じだということ。
これは何代か前の東の王が、大陸との交易をスムーズにするために統一したようだ。
奴隷制度もあるという。
違法なものではなく、ちゃんとした制度が出来ているらしい。
この国にも亜人族がいて、狸人族、狐人族などがいるらしい。
拠点を構えるのに丁度良い場所はないかと聞いたところ、ここから馬車で半日の距離に、数年前に廃村になってしまった村があると教えてくれた。
勝手に使って大丈夫か聞いたところ、本当にそこで生活するのなら、商業ギルドで手続きをしてくれるようだ。
国としても、魔物の棲家になってしまう可能性がある廃村の存在は、出来る限り早めに対応したいらしいが、ここは都から離れているため対応が遅くなっているという。
うーん、そこでも良いけど、そうなると人手が欲しいよね。
建物が作れる技術を持った人、農耕や酪農が出来る人がほしいかな。
ギルドの人に、聞いてみると、提携する奴隷商がこの町にもあるので行ってみてはどうかと提案された。
とりあえず、行くだけ行って、良い人材が確保できたら、廃村を拠点にしよう。
俺とアンナは、ギルドからの紹介状を持って奴隷商に向かった。
奴隷商では、紹介状のおかげか丁寧な対応し、応接室へと迎えてくれた。
「この度は、どのような者をお探しでしょうか?」
「建築や農耕が出来る者を探しているんですが、いますかね?」
「えぇえぇ。当商館には男女共におりますよ」
「アンナ、一緒に働くなら女性の方がいいよね?」
「そうですね……シゲオ様がいない間、異性と同じ場所に居るとなると常に警戒しておかなければならないと思います」
「そうだよね、じゃあ、女性を見せてもらえますか?」
「えぇえぇ。承知しました。少々お待ちくださいね」
その後、連れて来られたのは、狐の耳と尻尾の20代くらいの女性。
黒髪で小柄な10代くらいの女の子。たぶん東の国の人族だろう。
犬の様な耳と尻尾の20代くらいの女性。
猫の耳と尻尾の10代くらいの女の子だった。
「こちらの狐人族と人族が農耕が得意な者になります。そして、こちらの狼人族と猫人族が建築を得意としている者になります」
「金額はいくらです?」
「人族と猫人族は若いので、人族が金貨80枚、猫人族が金貨70枚でございます。狐人族と狼人族は高齢ということもあり、狐人族が金貨10枚、狼人族が金貨15枚となっております……あぁ、夜伽はどの子も問題ありませんよ」
「そ、そうなんですね。しかし、狐さんと狼さんは、それほど高齢には見えませんが?」
「それは、種族特性でございますね。こう見えて2人とも80を越えておりますので」
「は、80……出産等はもうお済みな感じですか?」
「そのようですね。孫を売るわけにはいかないと、自分を売った者達ですので」
「ご立派な精神ですね。2人の寿命は平均してどれくらいなんでしょう?」
「そうですね、狐人族は120くらいで、狼人族は100くらいでしょうか」
「若く見えるのに……本当にご高齢なんですね」
「はい、寿命が近づくと、どんどん老けていくそうですよ。しかしうちの者は、まだまだ若く見えますでしょう? すぐに老けてしまうことはないのでご安心を!」
「は、はぁ……そうですね。ならその2人を買わせていただきますよ。あ、でも安い物で構いませんので、着物と草履をお願いしますね」
「えぇえぇ! それくらいならお安い御用でございます。お買い上げありがとうございます!」
こうして、奴隷契約や諸々の手続きを終わらせて、お互いニコニコで商館を後にした。
とりあえず、個室がある料理屋にでも入って今後のことを話し合おうかな。
道ゆく人に良いお店を聞き、そこへ向かった。
その店に向かうと、これまた丁寧に対応してくれて個室に案内してくれた。
「御注文がお決まりましたら、お声がけください」
店員さんがそう言って個室の外へと出ていった。
「ふぅ、さて自己紹介やら色々な話をしようか。俺はシゲオ、よろしくね。あ、あと言葉使いは気にしなくて良いから楽にしてね」
「シゲオ様……私はアンナです。シゲオ様はこう仰っていますが、ご主人様となりますので、そこは十分にお気をつけくださいね」
「あぁ、分かってるよ。こんなババア買ってくれたんだ。誠心誠意奉公させてもらうよ。あたしは狼人族のフィオナだ。よろしく頼むよ旦那様」
「わっちは、狐人族のリンです。主様よろしゅう頼みます」
「うんうん、よろしくね。フィオナは東の名前っぽくない気がするね」
「あぁ、それは先祖が大陸からこっちに来たせいかもしれないね」
「そういうことか。じゃあ、2人にこれからやってもらいたいことを話すね。俺はここから馬車で半日の場所にある廃村を拠点にしようと思っているんだ。そこを最低限みんなが住める環境にすることが目的なんだ」
アンナ以外が首を傾げている。
「うーん、俺は転移して移動するから、最低限ここにいる3人が住めれば大丈夫なんだよね」
「すんごいスキルをお持ちなんですね」
「あぁ、そうだな。さすが旦那様だ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。早速今日から移動しようと思うけどいいかな?」
「あたしらは、旦那様の所有物になったんだ。旦那様に着いていくよ」
「えぇ、そうですね」
「ありがとう。大工道具と農耕に必要な物等を買ったら、出発しようか。あぁ、ここでご飯食べてからね」
俺達は、焼き魚定食、味噌汁付きを食べて、必要な物を購入して、商業ギルドに報告し手続きをしてもらった。
商業ギルドは、手続きの間に馬車を手配してくれて、そのまま出発することが出来た。
廃村に着いたのは、昼を過ぎた頃だった。
俺達はそのまま廃村を見回った。
魔物は、スライムが数匹いた。
たぶん排泄物が無くなったため、地上をうろうろしているのだろうとアンナが教えてくれた。
家は6軒しかなく、村を囲む柵は蔦が絡みついていた。
幸い井戸はあり、鑑定しても飲料可だったので安心だ。
畑は、雑草が生い茂り、すぐには使えそうもない。
比較的損傷の少ない平家に入ってみると、土間に炊事場、土間からあがって畳の居間と押し入れ、居間から続く縁側って感じの作りになっていた。
縁側の方は、雨戸が閉まっており、中は暗い。
とりあえず雨戸を開けて、空気と明かりを取り込む。
俺の歩いた足跡がくっきり残るほど、部屋は汚れていた。
「とりあえず、なんとか寝れるようにしよう! 掃除道具も買っておいたから、手分けして頑張ろう!」
俺達は、数時間かけて、なんとか寝れる状態まで掃除出来た。
畳は、多少傷んでいたが、すぐに交換するほどでもないかな?
様子をみて、考えよう。
これで、ここが拠点として登録されたかな?
ま、大丈夫でしょ。
ダメだったら泣く。
「よし! みんなお疲れ様! ここには誰もいないから、俺の仲間も連れてくるよ。たぶんこの居間に出てくると思うからね。あ、あと2人には言ってなかったけど、俺はこの世界の人間じゃないから」
と、ここでカミングアウト。
色々質問とかあったけど、だいたいアンナの時と同じだね。
でも、これでようやくみんなと顔合わせ出来るね!
ただ、こっちでトワさんに触れて死んだら終わりっていう恐ろしい事実に気づいちゃったんだよね……ま、トワさん案外常識人だから言っておけば大丈夫でしょ。
俺は、ダンジョンに戻り、拠点に転移できることを確認して、みんなに話をした。
みんな喜んでくれて、向こうでバーベキューをしようという話になった。
あと、若返りの薬を明日取りに行こうという話もしておいた。
みんなが準備している間に、布団を3組とバーベキューセット一式、ビール1ケース等を購入して、拠点に向かった。
もちろんトワさんには、くれぐれも俺を向こうで殺さないようにねと注意しておいた。
じゃぁ今のうちにぃ……ということで、10回リスポーンした。
満足してくれたようで何より!
拠点に向かった俺達と奴隷のみんなで驚きと質問とわぁわぁきゃあきゃあと話をして、こちらの禁忌にあたるけど、向こうの世界ではテイムするしかないんだよって話をして納得してもらった。もしテイムして欲しくなったら言ってねって冗談で言っておいた。
その後は、夕方になっていたので、まだ荒れている庭に出て、持ってきたLEDのランタンを何個か吊るしてる間に、せっちゃんが歩いて地面を慣らしてくれた。
そして、俺達はバーベキューをして酒を飲み、親睦を深めた。
その中で、俺達がいない間に魔物等が来ては困るので、フィオナとリンの使う武器の話をした。
フィオナは、拳で! と言っていたので、サラマンダーの皮にミスリルを使ったグローブをラズに依頼。
リンは、俺と同じで、弓と短剣だったので、それもラズに依頼。
ラズは、3人の身体のサイズを測り、防具も作成してくれるようだ。
俺と同じような装備になるらしい。
大工仕事や、農作業は、ツナギと地下足袋でやってもらおう。
アンナは両方のサポートをしてくれるらしいから3人分だな。
明日から色々始まるなぁと思っていると、ラズが大工道具や農作業のクワやカマなども作りますよと言ってくれた。
思わずハグして頭を撫でてしまったよね。
働き者で良い子過ぎる!
無理はしないようにと釘をさしつつも、お願いした。
こうして、俺達は、楽しいひとときを過ごし、3人を残しダンジョンへと戻り就寝した。
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現在の主人公装備一覧
初心者の剣
初心者の木の盾
ウエットスーツ一式
ミスリルの短剣
ミスリルの剣
ミスリルのカイトシールド
ミスリルコンポジットボウ
ミスリルハーフプレートメイル
ミスリルアームガード
ミスリルグリーブ
ウルフマント
リザードマンの皮手袋
スノーシュー
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スキル一覧
テイム
体術
短剣術
長剣術
盾術
弓術
魔力
魔力操作
魔力向上
上級回復魔法
(回復魔法には、解毒などの魔法も含む)
生活魔法
補助魔法
身体強化
腕力上昇
脚力上昇
体力向上
回避補正
鷹の目
鑑定
錬金術
収納
矢弾作成
水中行動
気配察知
異世界言語
冷寒耐性
熱暑耐性
ダンジョン帰還
遮音結界
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持ち物一覧
若返りの薬 1本
チェーンソー
ミスリルの両手剣
ミスリルの槍
ミスリルタワーシールド
ミスリルの腕輪
ガーネットとミスリルのネックレス
隠者のローブ
ツルハシ 3本
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設備一覧
内装 ロッジ風
初心者物干しセット
鍛治設備一式
小さな個室
トイレ
脱衣所付き風呂場(洗濯機、洗面台は脱衣所)
冷蔵庫
キッチン設備一式
大きな座卓一式
配信用カメラ
ブルーレイ対応液晶テレビ
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従魔一覧
ヴァルキリー風ゴーレム(せっちゃん)
念話、食事
ドワーフ(ラズ)
鍛治能力向上
リリス(トワさん)
拘束魔法、拘束魔法強化
ヴァンパイア(桜)
異空間収納、料理
アンナ 赤髪ロング (異世界奴隷)
フィオナ 狼人族
リン 狐人族
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食材等 Dポイント 2,500
残 Dポイント 41,215
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