第32話 東へ2日目

 朝起きるとみんな起きていた。


「おはよー、今日も異世界に行ってくるね」


「おはようシゲオさん、これお昼ご飯だよ。持って行ってね」


「おぉ! おにぎりだ! それにおかずもあるんだ」


「はい! あとこの水筒にお味噌汁入ってるからね」


「至れり尽くせりだなぁ。ありがとう桜」


 えへへっと笑う桜。

 可愛くなりましたなぁ。


「よし、準備できたら向かうね。せっちゃんよろしくね」


『承知しました』


 良い声だぁ。


 俺達は、準備を整え、異世界に向かった。



 宿に転移すると、アンナはすでに準備を整えていた。


「おはよー、待たせちゃったかな?」


「おはようございます。いえ、今準備が出来た所です」


「そう? ありがとうね。あ、ここがどの辺かわかった?」


「はい、昨日の夜に宿の主人に確認しました。この町から東へ、馬車で2日ほど行くと港町に着くはずです。正直……昨日だけでここまで来れたことに驚きましたが」


「せっちゃん速いからね」


『恐縮です』


「じゃあ、今日は昨日よりもゆっくり走ろうか。今日はね、桜が作ってくれたお弁当があるんだ! あとで一緒に食べよう!」


「さくら様でございますか?」


「そうそう、向こうの仲間だよ。他にもトワさんとラズって仲間がいるけど、みんなアンナのこと心配してたよ」


「見ず知らずの私のことを……いつの日か皆様にお会いしてお礼を申し上げたいです」


「そうだね。いつか拠点持てたら、紹介するね」


「楽しみにしております」


「うんうん。みんなにも伝えておくよ。じゃあ、行こうか。せっちゃんアンナのことお願いね」


『承知しました』



 こうして俺達は、東へと向かった。


 昨日よりゆっくり走っているせいか、魔物がこっちに向かってきているのがわかった。


 街道の周りは草原のようになっていて、片方は遠くに山が見え、もう片方は森が見えていた。

 魔物は、森から来ているようだ。


「森から何か来てるね」


「この辺で、です、と、ブ、ブルかウルっフ、コボ、ボルトだと思いッます」


「せっちゃんにお姫様抱っこされて走ってるから、何言ってるか分かんないや」


 俺は、はははと笑ってしまった。


 アンナは揺られながら、頬を膨らませていた。


「せっちゃん、ストップ。敵を処理しちゃおう」


『承知しました』


 俺は収納から、弓を取り出し、せっちゃんには槍を渡した。


「シゲオ様達の装備は凄いですね。これほどまでの装備品は見たこともありません」


「そう言ってもらえると嬉しいね。ラズの手作りなんだ。お、見えてきたよ」


 敵を確認すると、コボルトが5体だった。


「コボルト5体。回収が面倒くさいから、引きつけて倒すよ。せっちゃんよろしくね」


『承知しました』


 アンナは俺たちの後ろに周り待機。

 せっちゃんは俺の前に出て槍を構える。

 俺は、弓を構え、コボルトが10メートル程の距離に来た時に矢を放った。


 矢はコボルトの頭に突き刺さり、仰向けにコボルトが倒れた。

 残りの4体はそのまま突っ込んでくる。


 もう1発必要かなっと思っていると、せっちゃんが槍を蒼く輝かせ、纏めて薙ぎ払った。

 それだけで、コボルトの上半身は下半身と永遠のお別れとなった。

 

「せっちゃんナイス!」


『恐縮です』


「シ、シゲオ様達は、毎回このような戦い方を?」


「うん? 基本的には、せっちゃんが前衛だからね。俺達はほぼサポートかな?」


「そうなのですか、せっちゃん様はお強いのですね」


「そうなんだよ! せっちゃんめっちゃ強いんだよ!」


 思わずドヤってしまった。


『恐縮です』


「あ、あの、私も大変恐縮なのですが、奴隷の私を守るような形になってしまい申し訳なく思うのです。私も、元冒険者ですので、前に出していただいて大丈夫ですよ?」


「あ、そうだったね。ま、でもせっちゃんと俺の弓の連携が慣れてるからさ。でもそうだな……護身用の武器はあっても良いかもね。冒険者の時は何使ってたの?」


「長剣と盾を使っておりました」


「おぉ! なら俺が持ってるから、後で渡すね」


「我が儘を聞いてくださり、ありがとうございます」


「気にしない気にしない。じゃあ、回収したら、先に進もうか」


 俺はコボルトの死骸を収納し、移動を再開した。


 運が良いのか悪いのか、その後は魔物と出くわすことなく、綺麗な水が流れる小さな川に差し掛かった。


「お、ここ良い場所じゃん。ここでお弁当食べようか」


『承知しました』


 俺達は、川の土手に腰を下ろし、浄化をかけてから、お弁当を開いていく。


 おにぎりと、おかずは唐揚げと卵焼き、タコさんウィンナーだった。


「美味しそうだ。じゃあ、お味噌汁は、木の器あるからそこに入れておくね」


「どれも見たことがない料理ですね……この赤いの可愛いです」


「このおにぎりと、おかずを一緒に食べると、より美味しいかもだから、試してみて」


「は、はい。頂戴します」


 俺達は、それぞれ食べ始めた。


 お、俺のおにぎりは梅が入ってる。

 疲れが取れる酸っぱさだねぇ。

 唐揚げも美味しいわぁ。

 卵焼きは、甘めの味付けだ。


「あ、おにぎりの中に塩味の身が……」

 

「それはサケっていう魚の身をほぐしたやつだね。美味しい?」


「はい! 初めて食べましたが、どれもこれもとても美味しいです!」


「それは良かった。桜も喜ぶよ。せっちゃんは何だった?」


『昆布です』


「お、そうなんだ。色々具を入れてくれたんだね」


 俺達は、のんびり楽しく美味しいお弁当を食べた。

 味噌汁も丁度良い塩梅で美味しかった。


 お弁当を食べ終わった俺達は、腹ごなしに歩いて行くことにした。


 しばらく談笑しながら、歩いていると、気配察知に反応があった。


「敵だ。数は3。あっちね」


 俺が指差した先には、こちらに向かって走ってくる赤いバッファローのような魔物だった。鑑定するとレッドブルと表示された。


「おぉ! あれがレッドブルか! これは大量にお肉ゲットの予感!」


「シ、シゲオ様! 早く逃げないと危険です!」


「あ、そうだね。剣と盾出すね」


「えッ!? えぇえええ!」


 俺は、アンナにミスリルの剣と盾を渡し、せっちゃんに大剣を渡した。


「よし! 出来れば頭を落として血抜きもしちゃいたい所だね。せっちゃん頼むね」


『承知しました』


 未だオロオロするアンナを横目に、俺は弓に魔力を通して、矢を放つ。


 先頭を走っていたレッドブルの眉間に矢が深く刺さり、転がるように倒れた。


 近づいてきた2体のレッドブルは、せっちゃんにあっという間に頭を斬り落とされた。


「さすがせっちゃん! じゃあ少しでも血抜きしちゃおうか」


 せっちゃんは片手に1体ずつ持ってレッドブルを逆さにした。

 俺も1体を持ち上げ血抜きをする。


「……シゲオ様達は、驚くほどお強いのですね」


「そうかな? ほぼせっちゃんのおかげだよ? あ、あとラズの装備も凄いね」


「そ、そうです! これミスリルじゃないですか! こんな高価な物を奴隷の私に持たせないでください」


「そんなに高価なの? 俺達はラズに作ってもらってるから分かんないけど……じゃあ魔鉄ならいい?」


「魔鉄でも十分に高価ですよ! 私は魔鉄の装備を買うために借金したのですから」


「そうだったんだ。うーん……ミスリルの方が強いよね? ならミスリルでよくない?」


「奴隷の私が、高価な装備をしていたら怪しまれますよ?」


「護衛の奴隷ってことにすれば大丈夫でしょ。もういっそ全身ミスリル装備にしちゃおうか」


「いえいえいえ! それは私の心が持ちません! でしたら……この長剣のみお借り致します。ローブの内側ですので、周りからは見られないので。ただ鞘があればですが……」


「あぁ、そうか。収納前提だったからなぁ。ラズに作ってもらうね。じゃあ、とりあえず今日は収納に入れておくよ。全身装備は、また考えようね」


「は、はい。ありがとうございます」


 アンナー、顔が引き攣ってるぞー。


 しばらくして、多少は血抜きが出来たので、3体を収納し、今度は軽く走りながら、東に向かった。


 夕方には、港町に到着した。

 冒険者ギルドに行って、コボルトとレッドブルを渡し、レッドブルの皮と肉だけ貰えるように手続した。明日の朝までには解体が出来るので取りに来てくださいとのことだ。


 その後、宿を取り、アンナを残してダンジョンへと帰還した。


 今日あったことを、みんなに話した。

 アンナがみんなに会いたいと言っていたこと、料理を褒めていたこと、ラズの作った装備を褒めていたこと、長剣と鞘のこと等を話した。

 みんな微笑みニコニコしていた。


 俺は、船賃のために、ショップからコショウと砂糖を買って、ラズにミスリルのインゴットを3本もらい、就寝した。




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現在の主人公装備一覧


初心者の剣

初心者の木の盾

ウエットスーツ一式


ミスリルの短剣

ミスリルの剣

ミスリルのカイトシールド

ミスリルコンポジットボウ

ミスリルハーフプレートメイル

ミスリルアームガード

ミスリルグリーブ

ウルフマント

リザードマンの皮手袋

スノーシュー

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スキル一覧


テイム

体術

短剣術

長剣術 

盾術 

弓術

魔力

魔力操作  

魔力向上 

上級回復魔法

(回復魔法には、解毒などの魔法も含む)

生活魔法

補助魔法

腕力上昇 

脚力上昇 

体力向上 

回避補正

鷹の目

鑑定

錬金術

収納

矢弾作成

水中行動

気配察知

異世界言語

冷寒耐性

熱暑耐性

ダンジョン帰還

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持ち物一覧


若返りの薬 1本

チェーンソー

ミスリルの両手剣

ミスリルの槍

ミスリルタワーシールド

ミスリルの腕輪

ガーネットとミスリルのネックレス

隠者のローブ

ツルハシ 3本

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設備一覧

内装 ロッジ風

初心者物干しセット

鍛治設備一式

小さな個室

トイレ

脱衣所付き風呂場(洗濯機、洗面台は脱衣所)

冷蔵庫

キッチン設備一式

大きな座卓一式

配信用カメラ

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従魔一覧


ヴァルキリー風ゴーレム(せっちゃん)

念話、食事

ドワーフ(ラズ)

鍛治能力向上

リリス(トワさん)

拘束魔法、拘束魔法強化

ヴァンパイア(桜)

異空間収納、料理


アンナ 赤髪ロング (異世界奴隷)


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食材等 Dポイント 300

残 Dポイント 42,695

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