第22話 おじ様の配信

 次の日の朝食は、ご飯、鮭の塩焼き、味噌汁という和食を桜が作ってくれた。

 桜に聞いたところ料理の本があれば、何でも作れるとのことだった。


 スケルトンが和食とか何でも作れるって普通なのか?

 普通じゃない気がするけど、今はありがたく料理を作ってもらおう。

 いくつか料理の本を購入して桜に渡した。


 桜の料理は、支給されていた和食よりも美味しかった。

 納豆も出してみたけど、俺と桜は食べたんだけど、トワさんとラズは食べなかったね。

 桜が、転生者? 転骨者? 疑惑が強まった一幕だった。


 食休みに配信を見ていたが、丁度おじ様の配信が始まった。



「やぁ諸君、ごきげんよう」


 やっぱおじ様ダンディーだな。


「今日ここで話したいのは、10階層攻略後についてだ。10階層を攻略すると、新たなアプリがインストールされる。それは、異世界に行けるというものだ」


【まじか】

【知ってた】

【異世界キターーーー】

【それなら、全種族コンプも夢じゃない?】


「ふむ。ひとまず私が集めた情報と実際に見てきた話をしよう。まず行ける異世界は、皆同じ世界に繋がっているようだ。実際にその世界で、数人と待ち合わせをして会うことが出来た」


【同じかぁ】

【俺ツェェェェは?】

【知識チートも先に行った人たちがやるんだろうな】

【やっぱ中世?】


「まぁまぁ、落ち着きたまえ。世界設定は、みんなのイメージ通り、中世で剣と魔法の世界だったよ。種族も、あらゆる種族が存在しているようだ。そして、向こうで死ぬとリスポーンしない」


【え】

【まじかよ】

【行きたくなくなった】

【目標がみえたわ】

【草】

【知ってた】

【笑えねぇ】


「10階層を攻略したことで、気が大きくなった者が先走り、向こうの住人をテイムした。だが、それは向こうの世界では禁忌とされることだった。正当な理由なく、テイムすることは、強制的な奴隷契約と同じだ。向こうの世界では過去にそのことが原因で多くの争いを生んだ。戦争にまで発展し、多くの血が流れたそうだ。そのことから、人、亜人種、魔族などを正当な理由なくテイムすることは禁忌とされ、禁忌を侵した者は死罪となる……結果、その先走った者は、抵抗したが向こうの騎士団によって拘束、死罪となったようだ」


【怖っ】

【無知って怖い】

【スキルに転移ないっけ】

【ダンジョン帰還みたいなのあったような】


「そうだ。これはアプリを最初に起動する時に説明が出てくる。禁忌については説明がなかったが、ダンジョン帰還というスキルを取得するようにと注意を促していた。先走った者は余程気が大きくなっていたようだね。そのスキルを取得していなかったために、逃げることが出来ずに拘束された訳だ」


【なんていう】

【アホだな】

【なんでとらなかった】


「ふむ。それは単純に高いのだよ。そのスキルを購入するのに必要なDポイントは…… 100,000だ」


【高ッ】

【何日かかるのか】

【そりゃ取らんわ】


「そういう事だ。10階層を攻略できる能力では、向こうでは簡単に死んでしまう。そのポイントを軽く稼ぐ事ができるようになっている能力であれば、向こうでもそう簡単に死ぬことは無いという事の目安だと思う。先走って死んでしまった者には申し訳ないが、良い教訓となった訳だ。また、ダンジョン帰還のスキルがなくても、向こうから帰ってくることは出来る」



 後続の俺たちにはありがたい事だな。先駆者よ、安らかに。



「ダンジョンと同じように、向こうに扉が出来る。そこに触れれば帰還することが可能だ。また現地人に協力を得て、その扉が見えるか確認したが、現地人には見えないことがわかった。このことにより、死ぬようなことをせず、観光する分には問題がないと言えるな」


【観光かぁ】

【あれ金なくね】

【冒険者ギルドあった?】

【いく意味ねぇ】


「向こうには、冒険者ギルドと商業ギルドがあることは確認出来た。登録には冒険者ギルドは銀貨5枚、商業ギルドは金貨1枚が必要になる。これについては、ショップで塩や砂糖を購入して売却することで簡単に解決できる。いっそのこと、商業ギルドに所属して行商人として向こうの世界を楽しむということも出来るだろう」


【おぉ】

【商人プレイか】

【トルネ○思い出した】

【でも、向こうの法律やら常識がないと怖いね】


「そうだ。無知が1番恐ろしい。常識や法律がわからない状態では、どんな行動をしたら危険があるかわからない。そこで、1番簡単に解決するには、向こうで知識ある奴隷を購入し、同行させるというものだ。ただ、テイムと奴隷契約は違うことを覚えていてほしい」



 テイムと奴隷契約の違いかぁ……なんだろ?



「奴隷契約というものは、向こうの世界独自の魔法だ。奴隷契約状態では、その奴隷をダンジョンに連れ帰ることはできない。もちろんテイムすれば可能だろうが……。テイムした者を連れていると、衛兵に尋問される。怪しいところがあれば拘束され死罪だ。つまり、人型の種族を連れ歩くことは禁忌に触れてしまう可能性が高い。向こうの世界は魔族も種族として成り立っているから十分に注意してくれ」


【スケルトンやゴーレムは?】

【コボルトやゴブリンとかも?】

【テイマーとかいるのか?】

【俺人型しかいねぇわ】


「テイマーという職業は向こうの世界にいる事が分かっている。冒険者ギルドに登録しているか、商業ギルドで登録して畜産業や行商に従事しているらしい。各ギルドで情報を集めた結果、魔物と呼ばれているものならば、テイマーが連れていても問題ないと分かった。ただギルドで従魔登録が必要だから注意してほしい。スケルトン、ゴーレム、コボルト、ゴブリンは大丈夫だ。ただスケルトンは見た目が怖がられることから、全身を隠すローブを着せる場合が多いようだ」


【なるほどなぁ】

【いきなりたくさん引き連れて行くとやばそうだな】

【俺らはみんなテイマーか?】

【一般冒険者で登録した後でも従魔引き連れても大丈夫なのか?】


「向こうの世界は、後天的にスキルを得ることもあるようだ。なので、あとから従魔を登録することも問題ない。禁忌さえ侵さなければ、向こうの世界を楽しめる人達もいるだろうね。その場合は、十分気をつけてくれ。騙されることもあるだろうし、最低限、野盗や魔物などの危険から身を守れるようにね」


【はーい】

【わかりましたー】

【おk】

【情報助かる】


「今後もアプリが追加される場合もあるだろうが、この配信をみた諸君には、先走らずに慎重に行動するよう願う。今回の配信は以上だ。ありがとう諸君。ではまた」



 やっぱおじ様の配信は為になるわぁ。

 ありがとうおじ様!


 もし行けるようになっても、現状では、せっちゃんか桜を連れて行く感じだな。

 あとは、回復系のスキルや防御系、鑑定も必要かな。

 帰還のスキルと合わせれば、膨大なポイントが必要だわ。

 ひとまずは、帰還以外のスキルまで取得してダンジョン攻略するかな。

 しばらくは、ポイント稼ぎをしてスキル取得に集中しよう。


 こうして俺は、今後の行動を決めた。





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現在の装備一覧


初心者の剣

初心者の木の盾

初心者の弓

地下足袋

ウエットスーツ一式

ミスリルの短剣


ミスリルで強化済み↓

コンポジットボウ

ウルフの鎧

ウルフマント

リザードマンの皮手袋

リザードマンのアームガード

リザードマンのレッグガード


ミスリルのアームガード


初心者物干しセット


テイムスキル

体術スキル

収納スキル

矢弾作成スキル

水中行動

気配察知

短剣術スキル

回避補正


生活用品一式

若返りの薬 1本

チェーンソー


大きな棍棒

大きなカイトシールド


魔鉄の剣

魔鉄の槍

ミスリルの槍

ミスリルの盾

ミスリルの腕輪

ガーネットとミスリルのネックレス

黒いローブ

ツルハシ 3本

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設備

鍛治設備一式

小さな個室

トイレ

脱衣所付き風呂場(洗濯機、洗面台は脱衣所)

冷蔵庫

キッチン設備一式

大きな座卓一式

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従魔


ブルーグリーンのヴァルキリー風ゴーレム(せっちゃん)


ロリドワーフ(ラズ)ラズベリーショート

でっかいフード付きパーカー 黒

茶色のツナギと黒のタンクトップ


エロスリリス(トワさん)ゆるふわロングダークレッド

ロングカーディガン 白


土下座スケルトン(桜) 異空間収納

——————————————-

ミスリルバグ 4体 Dポイント +2,000


アイス等(本含む) Dポイント 1,000


食事 桜により解決


残 Dポイント 5,595

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