第15話 6階層攻略と

 次の日、弓が完成した。

 完成した弓は、トレントの木材をベースに魔鉄を使ったコンポジットボウだ。


 ラズにお礼を言って、1階層の通路で試し撃ちをすることにした。


 初心者の弓より、弦が大きく引ける。

 威力、飛距離ともかなり上がっていそうだ。


 矢を番え放ってみると、狙った場所に行かない。ブレる。安定しない。


「これ俺の技術が全然ついていけていないな。スキル無しじゃ、前衛に当たるぞコレ」


 部屋に戻り、みんなに報告し、弓術のスキルを取ることにした。

 Dポイント 1,000消費。


 再度、試し撃ちしてみると、狙った場所に矢が刺さる。

 スキル便利すぎるわ。ロビンフットも余裕ですわ。


 再度、報告とお礼を言って、準備を整え、6階層攻略を目指すことにした。


 道中のコカトリスは、石化の効果範囲外から、頭部を射抜き光に変えていく。

 トレントは、トワさんに『あの辺の木かしらぁ』と、ざっくりした場所を教えてもらい、矢を放っていく。トレントに当たると、その場で暴れるので、これまた攻撃範囲外から光になるまで狙撃。


 これで、ただの荷物持ちは卒業出来た! 視界が滲んでやがるぜ!


 遠隔攻撃で、安全にボス扉の前まで来ることが出来た俺達は声をかけあい、ボス扉を開けた。


 中にはタランチュラを何倍も大きくしたデカい蜘蛛がいた。


「トワさん拘束、せっちゃん突撃!」


 俺は、せっちゃんが射線に入らないように、壁際を移動しながら眼を狙っていく。


 デカい蜘蛛は、胴体と前脚2本が黒い靄に絡みつかれて、残った脚をわしゃわしゃ動かしもがいている。

 すると蜘蛛の周りに体毛が舞い始めた。

 接近するとあの体毛が人体に何かしらの影響を及ぼすのだろう。


 ま、俺らのパーティーは、関係ないけどね。


 せっちゃんが接近する頃には、8つあった眼のうち4つを潰すことが出来た。


 せっちゃんは、蜘蛛の頭部に盾を叩きつけ、槍を突き刺していく。


 蜘蛛は暴れ、尻から糸を飛ばしているが、拘束されているためこちらに向けて糸を飛ばすことが出来ない。


 俺は、尻に狙いを変え、矢をドンドン撃っていく。


 しばらくすると、蜘蛛の動きが弱々しくなった。


 そのタイミングで、せっちゃんは、槍を両手に持って、頭部に深々と差し込んだ。


 蜘蛛も体毛も糸も、光となって消えていった。


「みんなお疲れ様! 虫系って結構体力あるんだな」


「ふぅ、なんとか拘束も保てたわぁ」


「そうなんだ。なら今後、虫系のモンスターは気をつけなきゃだな。ま、何はともあれ、2人のおかげで倒せたよ。ありがとう」


 微笑むトワさんとサムズアップのせっちゃん。


 ボスのドロップは、魔石と白い糸玉状になった物だった。

 たぶん蜘蛛の糸だろう。


 戦利品を収納し、次の階層へ向かう。


 7階層は、大きな岩石がゴロゴロとあり、空があるダンジョンだった。

 岩石地帯かな? 岩石があるせいで死角が多いな。


 ざっと7階層を見た俺達は、部屋に戻った。


 ラズのお出迎えを受け、戦利品の糸を見てもらう。


「この糸玉、デカい蜘蛛のやつなんだけど、何かに使える?」


「デカい蜘蛛ですか……グレートスパイダーですかね。でしたら、マスターの弓の弦をこの糸で作ったものに変えましょう! より強力になります!」


「いいね! じゃあ、ラズ頼むよ」

 

 そう言って、眼を輝かしているラズに弓を渡し頭を撫でた。

 ニッコリ笑うラズを見ながら、俺は魔石を売却するために木箱に向かった。


 売却を終え時間をみるとまだ昼前だった。


 今日は、時間があるから昼食を終えたら、7階層の敵を確認してきてもいいかもな。

 

 そのことを、みんなに提案し、昼まで各々自由に過ごすことにした。


 ラズは弦の交換作業へ。

 トワさんとせっちゃんは、俺と一緒にDTubeを見て時間を潰すことにしたようだ。


 ノートパソコンの画面を見るために、身を寄せ合うので両サイドから2人がくっ付いている状態です。

 片や堅い、片や柔らかい。そして、精気吸収。たぶん生気も。

 数分後にはきっと、光となって消えてしまうだろう。


 案の定、数回リスポーンしました。


「魔力も回復したわぁ。ご馳走様ぁ」


 と言うことらしい。俺は無料の回復薬です!


 ま、良い景色と、いい匂いと、いい抱き心地だったよ。


 数回のうち1回は抱きついてみたからね。

 一瞬の柔らかい感触と、いい匂いがして意識が途絶えたけど。

 あとは、2人に挟まれ、画面、胸、画面、胸胸胸、ブラックアウトって感じ繰り返してたよ。


 全然配信の内容が頭に入らなかったけど、良い時間だった。


 昼食を、みんなで食べ、ラズを鍛治部屋に見送り、俺達は7階層に入った。


 警戒してしばらく進んだが、敵が現れることはなかった。


「気配はするのだけど、見当たらないわねぇ」


「うーん……あるとすれば、潜っているか擬態しているか……かな。1番近い気配はどの辺?」


「あの岩石の辺りねぇ」


 近づいて死角を見ても、岩しかなかった。


「まさか、この岩のどれかがモンスターだったり?」


 俺は、石を拾い岩に投げつけてみた。


 特に反応はなし。


 大きめの石を持ち、地面に埋まっている岩に叩きつけてみた。


 ガンッと大きな音を立てて、石が2つに割れてしまった。

 その後も、同じ岩に石を叩きつけたが、岩に傷がつくこともなく、石が割れてしまった。


「んん? なんか岩の強度高くないか?」


「そうねぇ、たぶん魔物だと思うけど、何かしらねぇ」


「せっちゃん殴ってみる?」


 せっちゃんは頷き、岩を殴った。


 ドカンっと大きな音がし、岩が少し削れた。


 すると、埋まっていた岩が動き出し、地面まで上がってくると、ダンゴムシの様な足が出てきて、逃げっていった。


「きもっ」


「あれは気持ち悪いわねぇ」


 確認が出来たので、俺達は部屋に戻った。


 ラズに話すと、それはロックバグという魔物ではないかと言われた。


 魔鉄と同じぐらいの強度の甲殻を持つ、臆病な魔物で、攻撃性はないとのことだった。

 ただ中には、ミスリルを取り込んだミスリルバグってのも居るらしい。


 もしミスリルバグがボスだと詰むんだけど。

 道中の敵がロックバグだけなら、スウェットとやっすいサンダルでボス確認してくるか?


 みんなと話し合った結果、俺1人で確認してくることにした。


 10ポイントのサンダルを履き、スウェット姿で、岩石地帯を彷徨うこと数時間。


 ようやくボス扉を見つけた。


 扉を開け中に入ると、中央には、ブルーグリーンに輝く巨大な岩石があった。


「はい! 詰み! 撤収ーーーーー!!!」


 ボス部屋から出れることも、おじ様の配信で知っていたので、無事部屋まで帰還した。

 

 嫌な予感ほどよく当たるわ。どうしようかなぁ……。




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現在の装備一覧


初心者の剣

初心者の木の盾

初心者の弓

地下足袋


トレント魔鉄のコンポジットボウ

ウルフの鎧

ウルフマント

リザードマンの皮手袋

リザードマンのアームガード

リザードマンのレッグガード


初心者物干しセット


テイムスキル

体術スキル

収納スキル

矢弾作成スキル


生活用品一式

醤油 

若返りの薬 1本

チェーンソー


大きな棍棒

大きなカイトシールド


魔鉄の剣

魔鉄の槍


ツルハシ 3本

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設備

鍛治設備一式

小さな個室

トイレ

脱衣所付き風呂場(洗濯機、洗面台は脱衣所)

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従魔


ブラックブルーのヴァルキリー風ゴーレム(せっちゃん)


ロリドワーフ(ラズ)ラズベリーショート

でっかいフード付きパーカー 黒


エロスリリス(トワさん)ゆるふわロングダークレッド

ロングカーディガン 白

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(魔石はコカトリス3体分を差し引いて)

コカトリス 23体 Dポイント +1,150

トレント 16体 Dポイント +800

グレートスパイダー Dポイント +500

魔石合計 Dポイント +2,300


弓術スキル Dポイント 1,000


アイス等(サンダル含む) Dポイント 100


食事 朝夕変更+3名 Dポイント 60


残 Dポイント 3,590

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