第12話 念願のォォォオ!?

 4階層を攻略した次の日の夕方、俺の装備も完成した。


 動きやすさを重視して、ウルフの毛皮をベースに魔鉄のプレートを前面につけたハーフプレートアーマーと、ウルフの毛皮のマント、リザードマンの皮の手袋、リザードマンの皮をベースに魔鉄をつけたアームガードとレッグガード。


 装備して動きを確認する。


 うん、サイズもちょうど良いし動きやすい。


 弓も構えてみるが、邪魔になる部分もないし、皮手袋が滑ることもなく、逆にギュッと掴めるようになった気がする。


「ラズありがとう! 良い装備だよ!」


「そう言っていただけて、良かったです!」


 ニッコリ照れながら笑うラズ。あとでアイス買ってあげようね。


「あんまり寝てないだろ? 俺達は5階層の様子を見てくるから、ゆっくり休んで」


「ありがとうございます。お言葉に甘えますね。マスター、せっちゃんさんお気をつけて」


「おう! じゃあ行こうかせっちゃん」


 サムズアップし、ラズに手を振るせっちゃん。


 俺達は、鍛治部屋を出て、装備を整える。


 ノートパソコンを操作しようと思った時、たまには配信してもいいかと思った。

 ヴァルキリー風の格好良くも女性らしさを出した鎧姿のせっちゃんや、ラズの技術の高さを見てもらいたくなった。


「せっちゃん、配信するけど良いかな?」


 首を傾げるせっちゃん。そうか配信って分からないよね。


「えっと、不特定多数の誰かに戦ってる姿を見せても大丈夫?」


 頷くせっちゃん。なら早速ポチッとな。


「ありがとう。それじゃ5階層行こうか」


 サムズアップし、盾と槍を装備するせっちゃんを見ながら、俺も準備を整えリュックを背負……えなかった。マントつけてると背負えないじゃんね。


 どうしよ。しょうがないから、マントを外しベッドに置いていくことにした。


 そして、ダンジョンへ。


 回廊型のダンジョン、宮殿や城を思わせるような造りとなっている。薄暗く、点々とある松明の明かりが頼りだ。


 

「よし、警戒して進もう」


 せっちゃんから頷きをもらっているとコメントがきた。


【お疲れ様ー】

【こんちゃー】

【お、回廊型じゃん何階層?】


「こんにちわ、お疲れ様です。今5階層です」


【お、若返りドロップ期待だねぇ】

【敵何がいた?】

【その鎧着てるのなんの亜人種?】

【スタイル良いよね。美人うらやま】


 さっそくせっちゃんに対するコメントも来たね。


「この鎧の子は、ゴーレムのせっちゃんです」


【ゴーレムかよ!】

【そんなゴーレム居ないし】

【動くオッサンの石像ならいたわ】

【それゴーレムらしいぞ。ダンディーが鑑定してた】

【あぁオジサマなら、鑑定取れるか】

【でもなら、この姿は?】


「えっとですね、他にもテイムした子がいて、ドワーフなんですが、彼女がやってくれました」


【まじか】

【そんなこと聞いたことないな】

【石像は石像だと思ってた】

【彼女? おまわりさーーーーん】

【こいつでーーーーす】


「いやいや、俺ロリコンの趣味はないんで、和んだり癒されたり有り難い存在ですよ」


【と容疑者は言っております】

【といいつつ裏では】

【ロリドワーフテイムしたやつみんな配信でやってたぞ】

【こわっ】


「あぁ、俺も見ましたそれ。見てて可哀想になって閉じましたが」


【わかる】

【うん正常】

【あれはヤヴァイ】


「生きて帰れたら、うちの純朴で可愛い娘を紹介しますね」


【がんばれ】

【生きて帰ってこい】

【期待】


「よし、じゃあ進みます。行こうか」


 せっちゃんを先頭に回廊を進む。


 しばらく進んでいると、赤黒い肌をし、コウモリの様な羽をつけ、角を頭と股間に生やした小柄な人型が2体飛んでいた。


「なんだあれ」


 コメントを見ると、だいぶ荒ぶってる。キターとかワンチャンとか。


 コメントを見ていると、インキュバスらしい。んでワンチャン、サキュバス。


「マジか!! ついにエロエロムフフな生活が俺にも!?」


【本性表したな】

【男ってみんなそう】

【考えることみんな一緒だわwww】

【くっそうるさくて草】


 いや、だって、ねぇ。そりゃ期待しちゃうじゃんムフフ。


 鼻息荒いぞとコメントに言われながらも、戦闘を開始する。


 はい。せっちゃんがサクサクっと串刺しにしちゃいました。


 コメントも、【は?】とか【草】とか【強すぎ主いらなくね?】などなど頂きました。


「強い仲間を得て、俺は嬉しいです。せっちゃん様様です」


 その後も10体インキュバスを倒したが、サキュバスは出てこなかった。


 一回切り上げてラズを紹介しようかななんて考えていると、カツ、カツっとヒールの音が聞こえてきた。


「みなさん聞こえました? ヒールの音です」


【ヒール?なんで】

【あ、なんか聞こえた】

【ホントだ】

【なんでヒール?】

【なんだろ】


 あれ? キターとかwkwkとかじゃないんだな。まさかサキュバスじゃない?

 ならなんだ……特殊個体か?


 しばらく回廊の先を窺っているとソレは姿を現した。


 ゆるふわロングのダークレッド髪。

 大事な部分以外スケスケなナイトドレス。

 がっつりスリットが入っていて、歩く度に魅力的な脚が見えている。

 もう一つ目が釘付けになるのは、大きな2つの山に、深い谷間。


 危険だ。俺の俺が反応して腰が曲がっちまう! 戦闘なんて出来なくなるぅ!!


「ヤッバ、エッロ」


【エロッ】

【ほぼ見えt】

【やゔぁすぎ】

【俺のためによく見てくれ】

【もうちょい】

【ナニヲシテイルのか】

【ナニだろうね?】


 コメントもほぼそっち系だわ。敵さんは、妖艶に微笑んで近づいてくるんだけど。


 なにもしないと殺されるからな。初手テイムして特殊個体の確認だな。


「せっちゃん守り優先! まずは確認の【テイム】!!」


【テイムが成功しました】


「え?」


 特殊個体じゃなかったのか、一発で成功しちゃった……。


「……まじか、マジか! マジか!! やったぜぇえええ!!」


【あ】

【あらら】

【南無】

【あちゃー】

【終了のお知らせ】


「え? なんで? あんなエッロエロなのに……まさか男とか!?」


【違うよ、それ女】

【女だよ】

【女性ですね】

【だがしかしサキュバスではない】

【サキュバスじゃないけど女性だよ】


 え? じゃあなんで?


 コメントと話していると、テイムした妖艶な美女が俺の前までやって来た。


 そして、徐に俺の顔に手を伸ばし、口づけしてきた。しかも深い方です。


 酸欠なのかなんなのか、頭がクラクラしてきたときに、ようやく離れてくれた。


 ごっくんっと音が鳴るように飲み込む美女。


「ごちそうさま主人様、これからよろしくねぇ」


「あ、はい。よろしくっす」


 あれ? 興奮していたアレやコレが……あれ?あれれ?


 コメントを見る。


【美女のアップ助かる】

【これこれ】

【俺は絶対テイムしないけどな】

【主観物】

【それリリスってやつ】

【精気も生気も吸っちゃうやつw】

【勃たなくなるってか勃ってもすぐ吸われちゃうらしいぞ】

【パッシブ精気吸収だったはず】

【おめでとう常時賢者】

【賢者っw】

【確かに賢者だわ】

【賢者とか草】


「マジかよ……俺のムフフでエッロエロな性活は?」


「フフフ、私の身体……好きにしていいのよ?」


「ッ! ッ!?」


 一瞬俺の俺が反応したけど即賢者になった。


「たぁだ、あまり私の肌に触れすぎちゃうと死んじゃうけどね?」


 耳元で囁かれました。ゾクゾクはした。


 部屋に戻ったら、どれだけ触れても大丈夫か検証しよう。そうしよう。


 あと名前どうしよ。

 ナイトドレス……ダークレッド……夜っぽいよな。うーん、安直すぎる思考よ。

 いっそ夕暮れとか夕方とか? 英語でなんだ?


「あのコメントのみなさん、夕方とか夕暮れって英語でなんですか?」


【お、名前か】

【リリスだからリリーとかどうよ?】

【エロいからAV女優の名前でもよくね?】

【確か、イヴニングじゃなかったかな】

【トワイライトだったような】


「貴重なご意見ありがとうございます。イヴニングかトワイライトですね。ありがとうございます」


 イヴニング……イヴ、アダムに寝取られそう。トワイライトから、トワっってのは安直だけど、まぁみんな安直に付けてきたからな。


「じゃあ、名前はトワで」


「トワ……うん悪くないわねぇ。よろしくご主人様」


「うん、よろしくねトワさん」


 コメント安直とか草とか一杯だけど気にせず帰ろう。


 俺達は、部屋へ戻った。


「あ、おかえりなさいマスター。あれ?」


「ただいまラズ。この人は、新しい仲間のリリスのトワさんだよ」


「わぁ! とっても綺麗な人ですね! トワさん僕はラズって言います。よろしくお願いしますね!」


「なにこの可愛い生き物……ここがキュっとしたわぁ」


 胸を押さえるトワさん。押された御山がふにょんっと形を変えています。


 スッと賢者モードです。


「ほら、トワさん。ラズがあわあわしちゃいそうだから挨拶して」


「そ、そうねぇ。私はトワ。よろしくねぇラズちゃん」


 ラズとトワさん仲良くなれそうですね。賢者モードだから癒されますねぇ。


 おっとまだ配信中だった。


 コメントを見ると【僕っ子ぉぉぉぉ】【でっかいパーカーか、良いセンス】【かわええ】【これは癒し】って感じだった。


「さて、みなさん配信はここで終わりますね。来てくれて、ありがとうございました。それでは、お疲れ様でしたー」


 そう言って配信を終了した。


 夕飯の時間は過ぎていたので、俺はカップラーメンを買って、2人に夕食を食べてもらった。せっかくなので、同じタイミングでせっちゃんに今日の魔石を2個渡して、4人で夕食を食べた。


 キャッキャウフフと癒される時間だった。


 

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現在の装備一覧


初心者の剣

初心者の木の盾

初心者の弓

地下足袋


ウルフの鎧

ウルフマント

リザードマンの皮手袋

リザードマンのアームガード

リザードマンのレッグガード


初心者物干しセット


テイムスキル

体術スキル


生活用品一式

醤油 


大きな棍棒

大きなカイトシールド


魔鉄の剣

魔鉄の槍


ツルハシ 3本

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設備

鍛治設備一式

洗濯機一式

——————————————

従魔


ブラックブルーのヴァルキリー風ゴーレム(せっちゃん)


ロリドワーフ(ラズ)


エロスリリス(トワさん)

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(魔石はインキュバス2体分を差し引いて)

インキュバス 12匹 Dポイント +360

魔石合計 Dポイント +300


カップラーメン等 Dポイント 100


食事 朝夕変更+2名 Dポイント 40

(次回より3名)


残 Dポイント 6,530

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