第四章:ゴーサイバー最大の危機
駐屯地壊滅
Side シュタール
「改造処理はどうなっている?」
様々な電子機器が並べられた薄暗いラボにシュタールは来ていた。
白衣を着た戦闘員達がせわしなく動き回り、先日このラボに運び込まれたアンドロイドの調整を行っている。
「はい。パーツを分かる範囲で最新の物に取り替えただけで大幅に性能が向上しました。とても地球の技術だけで作られたとは思えないと言うのが率直な意見です」
「それ程のデキか?」
「ええ。実戦投入も十分可能だと思われます」
「そうか・・・・・・なら早速投入してみるか」
今、最強の刺客がゴーサイバー達に迫りつつあった。
果たしてその刺客の正体とは何者であろうか?
Side 防衛隊駐屯地
戦いはまるで巨大な爆弾が炸裂したかのような轟音から始まる。
何らかの敵襲を受けたと思う前に「何が起こったのか?」と言うのが兵士達の率直な反応だった。
そして二度、三度と立て続けに爆発音が起きる中で警報が鳴り響き、アナウンスによる「敵襲」の報告でようやく自分達が敵の攻撃を受けたのだと気付いた。
恐らく敵はリユニオンだろうがどうしてこの基地なのだろうかと言う疑問がついて回る。
特別何か超兵器を開発していると言う訳でもなく、そんな噂すら聞いた事がないありふれた基地に対してだ。
そうして行く内に駐屯地の兵達は迎撃へと向った。
報告によれば敵は単独らしい。
その割にはアクション映画ラスト数分前のように景気良い破壊音が伝わってくる。
敵は重火力を持った怪人か何かだろう。
――舐めやがって
――この基地を攻めた事を後悔させてやる
――行くぞ野郎共
そんな軽口を叩けていたのはその敵を目視するまでだった。
――ん? 何だアレは?
部隊行動を取っていた兵士達に向って何かが飛んで来る。
それはとても角張っていて、長い砲身が付いた物体だった。
――ッ!? 避けろ!?
それが戦車である事に気付く前に条件反射で身体を動かせたのは僥倖だった。
猛スピードで、恐らく敵に投げ飛ばされたのであろう五十トン近くある戦車をぶつけられては訓練された兵士達と言えども一溜まりも無い。
――馬鹿な!? 戦車砲の攻撃を・・・・・・・・・
ここで漸く兵士達は敵の姿を目視した。
――何だアイツは!?
悪魔の様に鋭い二つの目。
角張ったショルダーアーマー。
デジタルウォッチを連想させるバックルベルト。
体中に打たれたビス。
銀色のボディ。
ヒーローと言うよりもダークヒーローと言う言葉を連想させる姿。
バチバチと音を鳴らして右手を突き出している。まるで見えない壁に阻まれているかのように戦車砲の砲弾は爆発している。
――まさかバリア!?
そう思った途端、奴の強烈な反撃が放たれた。
腹のハッチが開かれ、そこから噴射炎と共に何かが放たれる。
射出されたそれは強固な戦車の前面装甲に衝突し――
周辺の物を吹き飛ばす、小さなキノコ雲が起きる程の大爆発が引き起こされた。
それが立て続けに二度、三度と繰り返される内に基地は壊滅状態となる。
しかしこの破壊者はそれだけでは足りなかった。
上空高くに飛び上がり、駐屯地を一望できる位置まで浮かぶとそこで停止。
瞬間、まだ残った無事な施設に向けて一睨みすると悪魔のような鋭い両目が発光。
奇跡的に無事だった施設を両目から放たれるビーム兵器で吹き飛ばしていく。
残ったのは瓦礫の山。
生きている人間がいたとすれば奇跡だろう。
あまりの破壊力のせいで煙すらあまり出ていない。
それでも彼は生体反応を見つけると攻撃を開始する。
最早戦闘とは呼べない。一方的な虐殺だった。
そしてゴーサイバーの面々が辿り着いた時に見たのは――以前の面影すら無くなった防衛隊の駐屯地であった。
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