第99話 雰囲気

「しかし、お前達、本当にシャムリが集団で襲って来たのか?何で森の奥へ逃げるんだよ。」

 アランは、不思議だった。

 森の奥から、シャムリが出て来たなら分かるが、方向が違ってないか。


「何て言うか、……ほら、前にアランが、森を揺らすような魔法使ったろ。ラシフィコ州の洞窟で、蜘蛛のでっかいのみたいな魔獣と戦った時に。」

 ポールが、声デカに話す。


「蜘蛛のバカでかいのか?」

 他のハンターが、蜘蛛のバカでかいに反応する。


「ミヨンドレな……。」

 アランは、誰も魔獣図鑑見てねーのかと冷めた目で若いハンター達を見たが話しを戻す。


「森が揺れたのか?地震か?」

 アランは、この森でそんなに強い魔法を使った痕跡を感じ無かった。


「小さい振動よ。何回か、あっちとか、向こうとか。アランみたいな凄い魔法では無かったわ。」

 ニーナ、流石だ。

 俺みたいな凄い魔法使いは、そうそういない。


「最近、地震多いのか?」

 アランは、タイラーに聞く。


「地震?ねーな。」

 タイラーは、肩をすぼめた。


「とにかく、もう帰ろうぜ。みんないるんだろ?」

 タイラーは、森には興味無いとばかりに、歩き出した。


「あぁ、腹減ったな。」

 ポールも、興味は、食べ物に移ったらしい。


「おい、スタさん、止めてやれ。」

 スタンは、木の枝に丸まるララフィー達の匂いを嗅いでいた。

 下では、登れないボッサが前足を木にかけ、2本足で立って、どれか落としてくれと言わんばかりに、もどかし気に鳴いている。


 ポールが、ラシフィコ州で受けたギルドの依頼の話しを増々ましましに話している。


「アラン、ありがとうね。とりあえず帰ろう。」

 ニーナが、考えごとするアランに声をかけた。


「森を揺らす魔法を俺に教えろ。」

 魔法協会会長のお孫さんが、ぼそっと呟いて歩き出す。


 ……教えねー。


 タイラーが、アランが来るのを待っていた。


「……首を突っ込むなよ。」


「分かってるよ……。」

 アランは、振り向いてララフィー達を見た。


 怖がりララフィーは、木の上で寄り添うようにアランを見ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る