第36話 本当に迷惑

 チルチルは、倒れてぐったりしていて、出血のせいで、白い毛が赤く染まっている。


 アランは、回りを確認する。

 ビジュケルは、ほぼ殲滅出来ている。


 デンガ2体は倒したが、残り1体に苦戦中。


 魔法使いのリーダーは、見ていると云うことは、試験官だな。


 アランは、チルチルのために、薬草を使い魔法で治療してやる。

 毛に付いた血をキレイにしてやる。


 こういうの苦手なんだよな。

 また、ぼっさぼさになった。

 ぼっさぼさチルチルの出来上がり。


「チルチル、大丈夫だよ。良く頑張ったね。」

 女の子ハンターが、泣きながらチルチルを撫でる。

 ぼっさぼさになったのは、気がついてないようだ。


 ごめんね、チルチル。


 アランは、デンガが出て来た方向に目を向ける。


 洞窟があるな。


「おい、ここを頼めるか。」

 アランは、新人ハンターくんにみんなを頼むと、ひとりで洞窟の上空へ向かった。



 嫌なのがいるなー。

 これがボスなら、やはりギルドの依頼は、現状を把握出来ていないな。


 俺は嫌だよ。特級魔法使いになったばっかりだし。いきなりこれって、ハードル高くない。


 ギルドが把握してないなら、デンガ倒して帰れば依頼終了じゃないか。



「アラン、ハンターと魔法使いが数人、デンガが出て来た洞窟に、勝手に入ったみたいだ。」

 強面こわおもてが近付いてきた。


「はぁっ!なんでだよ。」

 アランは、思わず怒り口調になった。


「あの洞窟、昔、財宝がワンサか出たところだとか言ってた奴がいたからな。金に目が眩んだんだろう。」


「バカだろう。」

 アランは、強面こわおもてにざっと説明した。


「ヤバいな。」

 強面こわおもてが、また洞窟を見た。


 俺、帰りたいんだけど。

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