第26話 特級

 仕方がないので、アランは会長の頼みを受けた。


 特級、上級の魔法使いが少ないとは聞いていたし、魔獣が増えていると言う話しも耳にしていた。


 会長が話していた、ハンターや魔法使いたちが退治しまくった頃の危険な魔獣は、人里離れた山間部などに一部逃げこみ、姿を見せなくなった。

 それから時がたち、人に危害を加えるようになり、今また、魔獣が増え、被害が多発し始めたと言うことだろう。


 すべての魔獣と共存は難しい。


 狂暴な魔獣退治をハンターに任せてしまった魔法使いは、自分を含めて、すっかり平和ボケしてしまったみたいだ。


「まずは、討伐に行く準備だな。それとお前たちだな。」

 アランは、スタンとボッサを見た。

 2匹とも、いつも通り楽しそうだ。




 アランは、特級になったので、ローブなど新調した。

 すべてにおいて最高級な装備にしてやる。

 怪我なんて、ごめんだ。

 杖は、考えた結果、使いなれたほうが良い気がして、購入したが、いつもの杖を使おうと考えていた。



 ボッサの登録証を作った店に立ち寄った。


「こんにちは。」

 店には、またあのオッサンがいた。


「よう、特級魔法使い。」


 もう、噂になっている。

「明日、この子たちを預けたい。」


「賢明だな。小さすぎる。ヘナの子は、子供じゃないんだから、大丈夫なんじゃないか。」

 ノリノリに遊んだオッサンは、ただのノリノリのオッサンじゃないらしい。

 スタンが、子供ではないことは、お見通しときた。


「いいんだ。闘い用に調教してないし。危険だから。」

 アランは、スタンを見た。子猫サイズで、ボッサと並んで座っている。


「分かった。同じ檻に入れていいか。」


「仲良しだから、問題ない。」


「じゃあ、明日来てくれ。」


 アランは、疲れていた。

「疲れたな。でも、せっかくだから、噴水のところの2番目に美味しいお店に行こう。」



 明日、スタンとボッサと離ればなれになる。

 ずっと、スタンと一緒だったから、もふもふのいない日々は、さぞ寂しいだろうな。


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