第17話 お風呂は楽しい

 結局、スタンとボッサは自分たちのご飯が来ると、いつもの騒がしいお子さまに戻って、食べ散らかした。


「お前たち、そんなにガッツいて食ったら、俺が普段、餌やってないと思われるだろう。」

 アランは、呆れ顔で呟いた。



「さぁ、行くぞ。」

 アランは、美味しい料理とお酒を堪能して、お子さまたちと部屋に戻った。



 部屋に戻り。スタンとボッサは、横に並んで座っている。


 スタンがゲップをすると、ボッサもゲップした。


「まったく、下品だぞ。女の子に嫌われちゃうからな。」

 スタンとボッサは、お腹がいっぱいなので静かだ。

 ボッサなんか、うとうとしている。


 アランは、カバンからボッサとスタンのお気に入り毛布を出してやるとそそくさと寄ってきた。

 毛布を整えるとボッサが横になり大あくびをした。

「おやすみ、ボッサ。」

 軽く頭を撫でると気持ちよさそうに、薄目を開けながら睡魔と戦っている。


「スタさんも寝ちゃいな。明日は朝風呂な。」

 スタンも毛布の上に寝転がる。スタンはもう少し起きていたいようだが、満腹感が睡魔を呼んだようだ。


 アランは、宿屋の風呂に泡々になる入浴剤を入れお湯を張る。


「はぁー、やっぱりこれだよねー。」

 アランは、風呂に浸かりながら、思わず呟いた。


 マジックハウスに風呂を付けたいよなー。

 アランが今欲しい物は、風呂だ。

 これは、お金だけで買えない。ギルドの依頼も受ける必要がある。


 カバンやマジックハウスに取り付ける物は職人技だ。専用の魔法使いしか出来ない。


 もっと高い依頼受ければ、金はなんとかなるかな。

 今日のが、ギルドの依頼なら、結構もらえたんじゃないのか?

 いやいや、面倒なのは御免だ。


 まったく、近場にあんな魔獣が出て来ているのに、州都は何しているんだろう。

 ここは、いつもハンターが多く集まるところなのに。


「あー、止めた、止めた。せっかくのリラックスタイムが台無しじゃん。明日、楽しみだなー。朝は、また下で食うとして、昼と夜と、お茶しちゃったりして。楽しみー。あー、あとボッサの登録しないとな。」


 魔獣は、連れて歩くなら登録が必要だ。

 スタンは、すでに登録済みだが、ボッサの登録は必要だ。


「はぁー、しばらくはこの街でゆっくりしようかな。」

 アランは、久しぶりの風呂に上機嫌だった。


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