第2話 薬草探し
「あー、疲れた。少し休むよ。」
木陰に寝転び、目を閉じる。
アランは、薬草を集めて旅をする青年だ。
歳は、21歳になった。
風が、アランの寝癖のついた髪を優しく撫でていく。
明るめな茶色の髪や顔に木漏れ日が射し、優しげな顔は、気持ち良さそう。
昨日の依頼は、散々だった。
農作物の収穫で、魔法を使える者にとっては、楽勝な筈だった。
ニゲル種の魔獣の子とスタンが、じゃれ合いさえしなければ。
魔獣の子は、単にうちの相棒にかまって攻撃をして、嫌がる相棒と畑を荒らしまくり、収穫した野菜の箱を倒して、野菜を一部を買い取りせざるを得なかった。
魔獣の子は、遊びまくって大満足で森に帰って行った。
まぁ、しばらくは食事難にはならなくてすみそうだが。野菜ばかりのヘルシーメニューだな。
「おい!毛玉!」
アランは、お腹に衝撃を受けてびっくりする。
まるでクッションに、頭を乗せるように、相棒のスタンが寄りかかっていた。
スタンは、ヘル種の魔獣だ。
比較的人間に害をなさないが、あまり人慣れもしない。
だが、一旦信頼を得れば忠実のようだ。
それに何と言っても、これだ!
アランは、スタンを羽交い締めにして長い毛に顔を埋める。
柔らかいもふもふ毛、色は、白をベースに所々に茶色や紫、黒が入っている。
耳の先が黒い三角を作っていて、今は、迷惑そうに耳が垂れている。
動きは、猫のようにしなやかだ。
彼らは、体の大きさを自由に変えられる。
子猫サイズになったり、馬ぐらいになったり出来る。
はてさて、本来はどの大きさなのやら。
魔獣たちは、いまだに謎な生き物だ。
狂暴な魔獣もいる。
依頼を受けて、ハンターに退治される魔獣も多い。
「スタさん、今日は、この森で薬草探しをするよ。たまに狂暴な魔獣が出没するみたいだからよろしくね。」
アランは、スタンの頭を撫でた。
今は、中型犬サイズだ。
猟犬ぽくていい感じだな。
アランは、立ち上がりバックを斜めがけにして歩き始めた。
森の入り口に、《魔獣注意!》と立て札がある。
「どんな魔獣かも書いてあればいいのにな。」
町で聞いても分からなかった。
この森には、人は寄らず、町の反対の森に行くそうで、昨日の畑も反対の森だった。
とにかくこっちの森は、止めとけと町の案内所の人には言われた。
「スタさん、行くぞ。」
アランは、とりあえず薬草探しに森に入った。貴重な薬草なら、人が入らない森にあるかもしれないからだ。
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