光の架け橋 ~願いが届きますように~
華ノ月
第一話 私の願いが届きますように・・・。
私は年の瀬が迫ったころ、新しい仕事に就きました。内容は障がい者に仕事の仕方を教える仕事です。でも、私自身も障がい者。
しかし、私の周りの人たちは言っていました。
「○○さんにはぴったりの仕事だと思う!」
そう言ってくれて、親も主治医も私の友達たちもその仕事が採用になった時にとても喜んでくれました。私もその仕事が採用になり、嬉しい気持ちでいっぱいになったのです。
私自身、かつてはそういうところで利用者としてお世話になっていました。そして、ある施設でゆくゆくはこういった場所で指導員としての仕事がしたいと話をしたところ、快く、その思いを汲み取ってくれて訓練が始まったのです。
もちろん、障がい者であっても指導員になったら「支援」は受けれなくなります。それでも、私はいつかは指導員になりたいと思いました。
それはきっと私自身が絶望の世界ともいえる場所からがむしゃらに頑張って「光」をみたからでしょう・・・。
二十代、三十代前半頃まで私はかなり病んでいてまともに食事もとれずに体はガリガリで瞳は光を見ていない闇を纏ったような瞳をしていました。
周りから見ても異常なくらい、私は病み過ぎて毎日のように「死」のことばかり考えていたのです。親は諦めたのか、何も言わなくなっていました。そして、主治医も言っていたそうです。
「○○さんはこの社会で生きるのは無理です。入院での生活と自宅での生活のみの往復の生活でしか彼女は生きることができません。社会に出たら、○○さんは社会に殺されます」
それが医者の判断でした。その時は分かっていたのです。自分がこの現実の社会で生きられないことは感じていました。
それでも、私は何処かで願っていたのです。
「いつか優しい光が見たい・・・」
私はその願いだけは捨てずに祈り続けました。
短い期間でもいいから「生きている」という実感が欲しかったのです。仕事して稼いだお金で好きなものを買ったり、友だちと遊びに行ったり旅行に行ったり・・・。夢のまた夢かもしれない。分かっていたけど諦めることができませんでした。
そして、転機が訪れたのは三十代中盤の頃でした。
今となってはその転機が起爆剤にもなったので良かったのですが、私はある男性と駆け落ちのような状態で家を飛び出しました。そして、生活のために障がい者施設で利用者として仕事を始めました。でも、ずっと仕事というモノをしてこなかったので、何度も倒れて仕事に行くことができない日がよくあったのです。そんな中、一緒に暮らしていた男性が私に興味を示さなくなり、他の女性にフラフラするようになりました。
しかし、ここでおめおめと実家に帰っていたら家にいた頃の暗闇の自分に戻っていただけでしょう・・・。私は、実家には戻らずにこの状況で逆に強くなろうと思ったのです。
そんな時でした。ある施設で利用者として仕事していた場所である指導員が私のことを言っていることを知ったのです。
「○○さんに、仕事は無理だね」
そう言っていたそうです。それは、与えた仕事ができないという意味ではなくて、精神が弱すぎるのと体が弱いのでこういった場所でさえ、通所して仕事をするのは無理だということでした。
悔しかったです。
その言葉を聞いたときは悲しいというより、ただただ、悔しかったのです。それから、私はその指導員に「ここで仕事ができるように認めてもらうんだ!」という思いで、その日を境に私は休むことなく通所して仕事に励みました。
そうやって頑張っていた頃です。
その施設で頑張って仕事ができるようになって、もう少しで人生初の有給取得まで近づいた頃でした・・・。
一緒に暮らしていた男性がある問題を起こし、その責任を私に押し付けて私が代わりにその施設を辞めることになったのです・・・。
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