第5話 神様

 ボルサリーノは思う。“ノア”という作り上げられた存在を見せると嘘をついた罰が当たったと。オサフネは思う。神様でも救えないものがあると。タケゾウは思う。ボルサリーノは嘘つきだと。神様がいるとしたら不幸を救ってくれるはずだからである。(某は国に妻と子を残してきた。まだ死ねない。いるんだったら、救ってみろ…のあさま)その時、海の中に光が現れる。光が大きくなり、巨人の形を成す。(のあさま…?)光の巨人は大きな手で三人を掬う。海を進み、陸地に三人を静かに置く。タケゾウが意識を取り戻す。「あれ?ここは?」タケゾウの目に飛び込んだのは、現実とは思えないほど栄えた都の景色である。「ここが神様の地か。本当に神様はいた」その後、タケゾウとオサフネはボルサリーノの船で肥後の国に戻る。二人は誰よりも“のあさま”を信じ、自分たちの体験を伝説として各地に広めたという。

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