第19話 ロシアン闇たこ焼き

魚住と高清水カッパ、ひーちゃんさん、私はとりあえずそれぞれのたこ焼きを焼き終わった。


完成品を見て


「やはりプロのひーちゃんさんが一番綺麗に焼けているわね!もはや芸術だわ!美味しそうだもの!」


「バイトだっつの!!」

と言うが照れているから満更でもなさそう。


魚住も比較的綺麗だった。

こいつっ、やる時はやるからなぁ…。


高清水カッパは…まあ、素人が初めて焼いたにしては上手い方かも?普通ね。

と評価していく。


しかし皆は私のたこ焼きを見て冷めた目やため息をつき言う。


「お嬢様…。なんでしょうかな?


この……、ぐっちゃぐっちゃボロボロの汚らしいたこ焼き??なのかももうわからない原型を留めてない物体Xは?」

と魚住が言う。


「……何のことかしら?これはビッグバンと言う宇宙の惑星誕生をイメージしているの!


貴方達のような、たこ焼きといえば丸いを超えた作品よ!!」

と私は胸を張る。ひーちゃんが


「ただの失敗した、たこ焼きの成れの果てじゃねーか!!」


「もはや美玖様のたこ焼きが罰ゲームのようなものでは?」

とカッパもうるさい。


「うるさいわね!食べられればいいのよ!!この男共!!女の子が頑張って料理したんだから褒めなさいよ!


褒めちぎりなさいよ!!手料理が食べられることを誇りに思いなさいよ!!」

と言うと男子達は


「別にこれは次元が違うよな」

「食べたくない」

「料理とは呼べないでしょう」

と言いやがる!!クソ男子共がああああああ!!



高清水カッパが仕切り直して


「ま、何はともあれタコパ開催ですぞ!それぞれ他の人の焼いた好きなたこ焼きを皿に取って食べましょうぞ!」

とカッパに従い、とりあえず先にやはりひーちゃんの皿が無くなっていく。次は魚住でカッパ。


「ちょっと!私のも取りなさいよ!!めっちゃ余ってるんだけど!!」

と言うと男子達は嫌な顔をして仕方なく端に避けて取っていった。


なんて失礼なやつらなの!ちょっとくらい料理が下手でも男子としては快く食べるっていう漫画みたいな展開はないの!!?


「これ最後に食べるのは嫌だから先に食べておこうぜ」


「そうですね、口直し必要ですからね」


「先に不味いものを消化しておく作戦ですな、あ、一応、胃薬は用意しておきましたよ」

とカッパは使用人に胃薬まで用意させた!!


どんだけよ!!失礼な!!さ、最低だわ!!



「さっさと食べなさいよ!!」

と怒りを表すと


「分かりましたよ…」

と諦めたように魚住が食べる。


「うぐっ!!」

と目を回し何とか耐えた。

いや、どう言うつもりよ!!

ひーちゃんさんも


「うげっ!!」

とか悲鳴をあげた。


「あがあああ!!劇物!!」

とどうやらカッパに罰ゲームが下ったようだ。くくく、ハバネロをたっぷり仕込んでおいたからね。


カッパは唇を腫らし、牛乳をガバガバと飲んでいた。



「最初からヤベーわ。命取られるとこだった」


「流石お嬢様。クソ不味いものを作るのに才能が開花するとは」


「うるさいわね!!もうわたしのはいいでしょ!次はひーちゃんね」

と皆はひーちゃんのたこ焼きを食べ始め、幸せな顔をした。


「最初がアレだったから天国だ!!」


「最初のと比べるまでもなく上手いいいですなーー!!」


「ふん、普通だって言ってんだろ…」

とひーちゃんさんは得意げだ。


しかし私は何個か食べて変なのに気付いた。


「………不味い!!」

なにこれ?なんか気持ち悪い。飲み込めず吐き出すと


「あー……ハズレ引いたなぁ。グミ入れたわ」



「なっ!グミ?クソ不味い!!」

魚住は笑い、カッパもゲラゲラ笑っていた。



その後も魚住のも美味しく、カッパのも普通に上手いとの評価だけど、私は連続してハズレを引きまくった!!


「な、何これーー!!?ゴーヤ!?苦い!!」


「はうっ!!辛子入れすぎー!!」


「わ、わさびが!!うええええ!!」

と私は一人で悶絶していて、なんかもう全く面白くなく、男子達には腹を抱えて笑われるし、


「お嬢様の運の無さ!!最高!!」

とまで言われた!!


帰り道、ひーちゃんと魚住と並んで歩き、魚住はひーちゃんにうまく焼く方法を聞き、二人は意気投合していた。

私は後ろからトボトボ歩き、胃薬を飲みなんとか落ち着いていたが


「タコパなんてもう2度としないわ…」

と呟いていた。

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