第3話 語り部
ーー町の片隅に
ーーあるいは酒場に
ーー場所を見つけては、口を開く
語りたいから語るんだ
使命なんてどうでもいい
言いたいから言うんだ
誰かに望まれたからじゃない
心に従って
言葉を紡ぐ
正しいことも
間違っていることも
思うがままに
思うように
内容を選ぶ必要はない
言葉に悩む必要はない
思い浮かんだことを
記憶してきたことを
ただ
口にすればいいだけ
ただ
静かに語っていけばいいだけ
ーー興味があるなら、興味があるだけ
ーー聞きたい人がいるなら、聞きたい人だけ
ーー自由に耳を傾ければいい
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