さてここで問題です

尾八原ジュージ

手紙(一枚目)

【部費を盗んだ犯人は誰だ?】


 某大ミステリー研究会の部室に保管されていたはずの、今期分の部費がなくなってしまった。どうやら何者かに盗まれたらしい。

 事件があった日、部室を訪れたのはA、B、C、Dの四人。部長のAが部員から回収した部費を会計係のBに渡し、Bは封筒に目印として自分の名前を書いたあと、皆が見ている前でその封筒に部費を入れ、糊で封をした。

 その後窓などの戸締まりを四人で確認、皆が部室を出たあとAが部室を施錠し、ひとりで部室棟の事務室に鍵を戻しに行った。なお施錠する直前、目印のついた封筒が机の上に置かれているのを、四人全員が目視している。

 B、C、Dは部室棟の外に出、そのまま帰路についた。途中、CとDが口論を始めた。Cはミス研の部費を上げて機関紙の発刊を増やすべきだと主張し、Dは現状維持が望ましいと譲らない。結局Cは機嫌を損ねて離脱し、ひとりで家路についた。DはBにCとのことを相談するうちに話が弾み、結局Bの家に泊まることになった。

 さて翌朝、Bがミス研の部室に向かうと、部室のドアにはまだ鍵がかかっていた。事務室に取りにいこうとしたところ、ちょうど鍵を持ってきたというAと鉢合わせた。そこにたまたまやってきたC、Dが合流し、皆の前でAがドアを開けた。そこで、机に置いておいたはずの部費が封筒ごとなくなっていることに気づいた。

 Aが事務室に鍵を戻し、翌朝再び借りにくるまでの一晩、ミス研の鍵を持ち出した人物はいなかった。事務室には監視カメラが設置されており、ミス研の鍵がずっと壁のフックにかけられたままだったということを証明している。つまり犯行が行われたと推測される夜間、部室は密室になっていたのだ。

 果たして、誰がどうやって部費を盗み出したのだろうか?


※部室の鍵はごく一般的なシリンダー錠で、「ミステリー研究会」と印字されたテープが貼られたオレンジ色のタグがついている。つまり我々が実際に使用していた部室の鍵と同じものを想像していただきたい。

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