第6話 2人の出会い
「えーっと確かこの辺りに吉田屋があるはずだけど‥あれ?」
来たばかりの慣れない土地、優美は道に迷っていた。
あたりも少しずつ暗くなってきている。あまり知らない人に声をかけるのが得意ではない優美だが仕なく近くにいる人に道を訪ねることにした。
「あの、すいません。少し道を聞きたいのですが」
「はぁ、いいですけど。どこにいきたいんですか?」
「吉田屋ってこの近くにありませんか?」
「吉田屋!それならここから歩いてすぐですよ!僕もちょうど行くところだったのでよかったら一緒に行きませんか?」
同い年くらいだろうか。スウェットにTシャツ、ボサッとした髪でいかにも私生活がだらしなそうな少年だった。その風貌から一緒についていくのを優美は少しためらった。
しかしとても親切な対応と、なにより場所が分からないのでその少年に連れて行ってもらうことにした。
「ええ、お願いします」
「では行きましょうか」
そういうと少年は歩き始め優美もほんの少し後ろに下がって歩き始めた。
周りから見たら若いカップルに目えるのだろうか?歩きながら優美はそんなことを思っていた。考えてみれば幼少の頃から魔法の修練に打ち込んできた優美は男の子と遊んだりこうして並んで歩ったりした経験はあまりなかった。そのせいかこの状況になんだか変な気持ちになっていた。その少年は格好こそだらしないがよく見ると顔立ちは整っておりいわゆるイケメンといった感じだった。
「着きましたよ、吉田屋。まだすいてるみたいですし入りましょうか」
「あ、はいありがとうございます。こんなに近かったんだ」
これならなんとか自分で行けたのではないかとほんの少し後悔した。
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