第2話 転入生2
午前中の授業も一通り終わり昼休みになると今度は優美の方から隣の加藤に話しかけた。
「ねぇ加藤くん。このクラスで1番強いのは誰?」
「え?いきなりだね」
唐突な優美からの質問に隆弘は一瞬驚いた表情をしたがすぐに返答しようとした。
「それはもう‥」
ダン!
隆弘が答え終わる前に優美の前の席の男子生徒が机を叩きながら立ち上がった。
「おい、転入生。この教室で1番強いのはこの俺だ!」
身長180以上はあるだろうかという大きな体にいかにも乱暴そうな雰囲気の男子生徒だった。
「福田‥確かにお前は強いけどこのクラスには‥」
「黙れ!今の教室で1番強いのは俺だぜ加藤」
隆弘が喋り終わる前に福田は遮るように言い放った。
「ものは言いようだな‥」
めんどくさくなったのか隆弘もそれ以上福田に言い返すことはしなかった。
「まぁ、何でもいいのだけど。それじゃあ福田君、私と勝負してほしいの。この学園でも、もちろん模擬戦は自由なんでしょ?」
「ん?ははは。何かと思えば面白いこと言うじゃねーか。ああ自由だ。教員を1人監督につけさえすればな」
「それじゃあ‥」
「ちょっと待て!」
今度は隆弘が2人の会話を遮った。
「確かに模擬戦は申請さえすればいつでもできる。けどこいつは一年生ながらこの前の序列戦で学園10位になった男だ。ましてや転入初日から模擬戦なんて‥」
「おい、勝負ふっかけてきなのはこの女の方なんだぜ。やるのかどうするんだ?」
クスっと一瞬笑いながら優美は答えた。
「当然やるわ。それに今の私は強さを証明しなきゃいけないの‥」
強さの証明?どういことかと疑問を抱く隆弘をよそに福田は模擬戦の話を続けた。
「そんじゃ、決まりだな。先公共には俺から伝えておく。放課後第一演習場に来い」
「分かったわ。それじゃあ放課後」
「ふん、俺もちょうど一暴れしたいと思っていたとこなんだ。転入生、逃げるんじゃねーぞ」
そう言うと福田はその場をあとにした。
「まじかよ。福田と一条が模擬戦って‥」
会話を聞いていた他のクラスメイトたちも一年生ながら序列十位になった福田と魔導師の名家である一条との模擬戦にざわついていた。
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