24章 クロスステッチの魔女のへんてこな冬
第527話 クロスステッチの魔女、のんびりお茶をする
私は家に帰って、しばらくゆっくりすることにした。自分の家で試験からの解放感に浸りながら、おいしい紅茶を飲み、好きな魔法を好きなように作って過ごす。
「マスター、試験結果とかは気にならないんですか?」
「気にしたって仕方ないから、忘れるようにしたの。ルイス、おかわり」
「はい、マスター」
ルイスに紅茶を淹れてもらう。いつもと違う茶葉だったけど、これも悪くない。
「知らない味の茶葉ね」
「いつもの茶葉にしようかと思ったんですが、マスターが色々買っておられたので試してみようかなと」
そういえば、色々と買うだけ買ってそのままにしていた気がする。試してみるのはよかったかもしれない。
「これおいしーい!」
「いつもより甘くていい香りがしますわね」
うんうん、とみんなが頷くのを見て、ルイスはにっこり笑っていた。しばらくは色々試してみようかしら、という私に、ルイスが「わかりました。お茶の時間を楽しみにしててくださいね」と張り切っていた。
「そのうち、また、材料採取に出かけたいわねえ」
「楽しみです」
みんなで出かけて、雪や氷や冬に咲く花を採取して、次の魔法のための準備をしてもいい。そんなことを考えながら、甘いチェリーのジャムを塗ったスコーンをかじった。
「よし、明日出かけることにしよっか。あてもなくウロウロしてみて、お昼には……敷物を敷いて、外でお茶をしてもいいかも!」
「素敵ですね!」
「楽しそー!」
そうと決まったら準備しくっちゃ、と立ち上がる。《防水》の魔法を刺繍した敷物に、《冷気を防ぐ》魔法を刺繍した布を重ねることにしよう。それから熱い紅茶を外で飲むための準備に、カバンの中の整理、それから採取のための手袋類の用意。ルイスには革の靴があるけれど、キャロルにはないから作ってあげたいな、とも思った。そうなると、狩りがしたくなる。新鮮なお肉も食べたいし。
「明日はお出かけだから、三人ともカバンの中を空けておいてね。色々、入れてもらうかもしれないし」
「「「はーい」」」
元気な返事を聞きながら、自分のカバンの中も整理する。いらないものを出して、しっかり分別してしまうのは今度にして、魔法で拡張されているとはいえ空きを作っておく。狩りおよび身を護るための石と投石紐も用意して、腰にくくりつける用意をした。魔法のないただの石も、投げるのに使うから明日拾っておこうと思う。
「草花、魔綿、石ー……雪、氷、なんでも採取しておいて損はないわよね」
倉庫の中を見る。試験前に試行錯誤している間に、結構減っていた。
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