第681話 十二月十三日一回目のリハーサルを終えて 振り返り(六)
もう一度、全員が舞台の周りを囲むように座る。全員が舞台の周りを囲むように座っていてこそわかる踊るスペースの感覚というものがある。例えば「ここに人がいることを意識して踊って」と言われて、実際には人がいない状況で人がいると想定して踊るのと、本当にそこに人がいるのでは圧迫感が違う。あるいは周りに人がいてくれると、その人たちを目印にして踊ることができるということもある。
園香と恵人が舞台に登場する。園香が舞台に現れると、いつも小さな
アダージオから通す。
園香はいつ踊る時も思うことがある。恵人のサポートが、いつも変わらず上手で踊りやすいということだ。本当に安定している。
アダージオを一通り通した後、すみれが細かい部分をアドバイスしてくれた。ディディエやルエルは周りで見ながら微笑んで頷いてくれた。
優一や
男性ヴァリエーションでは優一と
周りで見ている者たちも思ってもいなかった凄いダンサーたちの踊りを見ることができて、驚きと興奮の声とともに大きな拍手が起こった。
続く、園香の『金平糖の精の踊り』が始まる。
ここでまた、
すみれや
園香は皆の踊りを見て、やはり、すみれと美織のクラシックバレエの基本を貫いた表現の美しさに心を奪われ、この二人の踊りが一番好きだと思った。
ここでも
静音やルエル、エルネス、すみれと美織の踊りの素晴らしさはもちろんのことだが、ここで、もう一つ、園香が驚きと素晴らしさに感動したのは美香と
二人の『金平糖の精』は、その踊りの見せ方を研究し尽くされたかのような踊りだった。繊細な踊りの中で、いかに自分を美しく見せるかということを意識した踊りに見えた。
真美が横から微笑みながら、
「世界も凄いけど、美香先生と葉月ちゃんの踊りも勉強になるやろ」
と言う。それが聞こえていたのか、葉月が、
「葉月先生や」
と言ったが、あまりの素晴らしさに園香は二人に対して、
「ありがとうございました」
と言うばかりだった。美香と葉月は微笑んで、
「ありがとうはええから、踊ってみい」
と言われ、園香がもう一度、最初から『金平糖の精』を踊る。
踊り終わった後、皆から大きな拍手をもらった。
美香と葉月が園香に「良くなった」と言ってくれた。その言葉が嬉しかった。近くで見ていたすみれや美織も微笑んで褒めてくれた。唯と瑠々も笑顔で拍手を送ってくれた。
そして、コーダのアドバイスを皆からもらい、もう一度、最初から通して踊り、グラン・パ・ド・ドゥは終わった。
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