第378話 ホールリハーサル一日目 レッスンの準備
それに気が付いた
青山青葉バレエ団の彩、カアヤ、裕子、佐由美、康子……
たくさんのスタッフが舞台作業をした後の床は
唯や知里たちキッズクラスの子どもは楽しそうだ。
雑巾掛けが終わり、すみれと美織、
彼女たちが舞台から客席を確認する姿。
この光景を園香は覚えている。文化イベントの舞台でもそうだった。
彼女たちは舞台を綺麗に掃除しながら、舞台の広さ、床の状態、舞台から客席を見た時の空間感を確認する。それを自分の体で覚える。
小さな唯や知里、真由たちも、すみれや美織たちお姉さんの隣に立って嬉しそうに客席を眺める。
既に客席にも数人のスタッフが準備している。今回のホールリハーサルはいろいろな場面を記録するためにビデオ撮影のスタッフが入っている。このスタッフは本番の公演でもビデオ撮影をしてくれる専門のスタッフだ。
この準備の様子も既に一人のカメラマンが撮影している。また、今回のリハーサルは真理子がお母さんたちにも撮影を許可しており、各自が交代しながら撮影できるよう準備している。知里のお父さんも客席からビデオ撮影していた。
◇◇◇◇◇◇
昼前、舞台の準備ができた。舞台の準備が整ったら出演者全員で舞台上でバーレッスンからセンターレッスンをすることになっていた。
出演者たちも全員レッスンの準備ができた。優一、
オーケストラでチェレスターを弾いてくれるという桐原という女性が
彼女は先日のリハーサルでもピアノを弾いてくれた。
ホールに美しく柔らかいピアノの音色が静かに流れ始め、ダンサーたちが
その中に、すみれや美織、古都、瑞希、優一という青山青葉バレエでプリンシパルとして舞台に立っているダンサー、バレエフェスティバルで華やかな踊りを見せたダンサーがいる。
まるでプロのバレエ団の舞台前を感じさせる雰囲気に、花村バレエの出演者たちは圧倒されながらも感動と誇らしさに包まれる思いがした。客席や
美しいピアノの音色でバーレッスン前のストレッチをしながら、園香は今になって、ふと思い出した。
東京に行ったとき青山青葉バレエ団の三階、あの神聖なプリンシパルの稽古場のレッスン風景。
あの時ピアノを弾いていたのは彼女だった。
あの日のレッスンの風景が園香の記憶に甦った。
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