第9話「こう言う武器ってやっぱりイカすね」
武器や装備品は、倉庫の中央に並んだ棚で大量に保管されており、選り取り見取りと言った状況だった。
棚には、銃火器やその弾薬以外にも何らかの爆発物が納められているらしく、メットのディスプレイにビックリマークが、大量に浮かんでいる。
目的の物以外には、むやみに触らない事を心に決めて一番近い所にあるマーカーに向かって行く。
マーカーは長方形のガンケースを指示しており、その大きさからブラスターライフルだと予想出来た。
ケースは巨大な棚の最も下の段に置かれていたので、引きずり出してその蓋を開けると、ブラスターライフルの他にノートパソコン等のバッテリーに見える箱状の物が一つとアサルトライフルのマガジンに見える物が二つ詰まっていた。
メットに表示される情報を見ると、マガジン内に装填された弾丸と電池を混ぜた様な物は、エネルギーカートリッジと呼ばれる物であり、高圧縮状態の高エネルギーガスが充填されているらしい。
この中身を使い切って空に成ると、俺の知ってる銃と同じ様に自動的に排出される仕組みの様だ。
「こう言う武器ってやっぱりイカすね。帝国軍の旧式ブラスターライフルだったかな。ガス。此奴に使えるカスタムパーツのリストも作成してくれ。後、マガジンとか消耗品もね。」
「かしこまりました。」
ライフルは映画等で米軍が使用するアサルトライフルと酷似しているが、バレルやストックが大きくなっており、ゴツく近未来的に成っている。
マガジンを装填する部分は俺の元の世界と同じだが、グリップと一体化したストックにバッテリーを固定出来そうな部分がある。
作動用の電源をストックに接続し、薬室内にエネルギーガスを充填する事で光弾を撃ち出せる仕組みの様だ。
俺は箱から取り出したブラスターライフルにバッテリーとマガジンを装填し、それを背中へ固定した。
残った予備のマガジンも腹に吸着させると、箱には衝撃吸収材だけが残った。
空き箱となったガンケースを閉じ蹴って元の場所に戻した俺は、次のマーカーへ向かう為に列の切れ目から一つ隣の列へと向かった。
先程の列には、ライフル等が納められた大型のガンケースが多かったが、此方の列には、小型のガンケースが多く並べられている。
似通ったケースが並ぶ棚板を観察しながらマーカーへと近付くと、視線位の高さに置かれたガンケースをマーカーが示していた。
少し奥まった所にあるガンケースを周囲の物を押しのけながら、手前に引き寄せて蓋を開けると、中には元の世界に存在する拳銃と似た形状の黒いブラスターピストルとそのマガジンらしき物の二つだけが収まっていた。
「え~っと?これも帝国軍の旧正式採用ブラスターピストルか。なんか、元の世界の拳銃にグリップとかが似てるな。」
「帝国軍は、その多くをヒューマノイド系種族で構成されいる為、使用する火器の形状も似通った物になると、予想出来ます。」
緩衝材に包まれたピストルを手に取りながら独り言を漏らすと、ガスが尤もらしい理由を答えてくれた。
俺は、ガスが放つその言葉を聞き流しなら手元のピストルを手に取って観察してみる。
俺がブラスターを注視すると、頭部のセンサーモジュールが自動的に解析を始め、メットの画面に簡易的な分析結果とガスが集めた情報を纏めた内容が表示される。
どうやら、このブラスターピストルには銃本体にバッテリーが付いておらず、使用しているマガジンの底に組み込まれているので、ケースの中にそれらしい物が見当たら無かったらしい。
俺は、映画やゲームで見た軍人がしていた武器の装備位置を思い出して、観察していたピストルを胸板へグリップを右側にして横向きに吸着させ、箱の中に置いていたマガジンを左腰に着けた。
二種類の武器が手に入った事やこの施設にあるジャンクを確認して持ち物をある程度決めた事により、見送っていたスキルの入手をする事にした。
メットのディスプレイを弄ってスキル取得画面を開くと、視界の右上には6SPの文字が現れており、現在の所持SPを表示してくれているが、その心許ない数字に不安を覚えてしまう。
スキルのキーワード検索機能がしれっと追加されていたので、それを使い武器の使用に関するスキルを調べてみたが、数を絞っても様々なスキルがピックアップされてしまい少し困惑してしまう。
「なあ、ガス。手に入れた武器を安全に扱いたいんだが、どのスキルが良いと思う?SPが少ないから、それを込みでおススメしてくれないか?」
「その条件ですと、【初等銃器操作】のスキルがおススメです。こちらは、手に持てるサイズの銃火器を安全に扱う事が出来る様になるスキルです。」
ガスがスキル取得画面を操作し、そのおススメのスキルを表示してくれたので、内容を読んでみると、暴発や誤射を無意識にしない為の取り扱い方が身に付くスキルと書かれている。
確かに安全な取り扱いを覚える事が出来れば、少なくても自分の身体を撃つことは無くなりそうだ。
「必要なSPが4ですので予算がほとんど無くなってしまいますが、基本的な銃火器全てを網羅しているので、今後他の銃を入手しても対応してくれます。」
「なら、このスキルにするか。腕は練習を積むかSPを貯めて他のスキルを取れば良いしな。」
ガスの更なるおススメ理由を聞いて取得を決意した俺は、画面を操作してスキルを取得した。
直ぐに変化が現れる様な事も無いので、背負っていたライフルを手に取ってみると、自然な動作で安全装置が作動している事を確認し、マガジンを抜いて薬室を解放し弾が装弾されていない事の確認した後、バッテリーの接続が問題無い事をそれぞれ目視で行っていた。
「残りの2SPは使わずに10SPまで貯め、ガンスリンガーかライフルマン、またはマークスマンのスキルを取るのが良いでしょう。」
「ガスがおススメするなら、それぞれ結構強いんだろうな。どれ位の効果が見込めるんだ?」
俺がライフルやピストルを触ってスキルの動作を確認していると、ガスからコンボのSPの使用先に関する提案が出されたので聞いていて気に成った点を聞いてみた。
「はい。それぞれ、取得するだけでピストル、アサルトライフル、スナイパーライフルの取り扱いがしっかりとした軍人や名うてのガンマンレベルまで強化されます。これにより、そこいらのチンピラが少し束に成った位では撃ち負ける事は、無いでしょう。」
「なら、そのスキルの取得を目指してSPを貯めるとするか。」
ガスの答えを聞きながら取り出したライフルとピストルを仕舞いつつ、次のマーカーが指す場所へ移動を始めた。
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