第9話 心霊研究会

 恋。

 人を好きになること。

 いくら朴念仁の僕でも誰かに恋愛感情を抱いたことくらいはある。

 初恋は幼稚園の頃。優しくて綺麗な先生のことを好きになった。幼稚園児と保育士の恋なんて成立するはずもなく、先生はお嫁に行ってしまい、僕の恋は破れた。

 この話を中学の同好会メンバーに話したところ、爆笑された。

 人を好きに、単純な好意という意味合いだけならば、僕はあの二人が好きだ。

 鷲羽真琴わしゅう まこと白鳥美和子しらとり みわこ

 青山東中学、心霊研究会。

 そんな、馬鹿げた名前の同好会に、僕は所属していた。

 色々あって、今は解散という形になっているけれど、あの二人と過ごせた日々は、青春といってもいいくらい、楽しかった。めちゃくちゃだったけど、沢山変な活動をして怒られたけど、散々振り回されたけど、それでも、楽しかった。

 彼らのことが好きだった。

 でも、彼らに対する好意と、今浅羽さんに対しての好意は、どこか違っていた。

 ライクではなく、ラブ。

 こんな僕でも、また恋をしているのだろうか。

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