第73話 

 オクタヴィアは魔女アヴローラに駆け寄りハルバードを振り下ろす。アヴローラは二本の石剣で攻撃を受け止める……衝撃で魔女の手が震える。


「くっ、手が痺れる……」


 滝の水が不自然にうねり水の柱がオクタヴィアへ襲いかかる。オクタヴィアは水撃を躱しつつ魔女へ銃弾を放つが分厚く展開した水の壁に阻まれる。


「第二覚醒体……パワーが厄介……」


 魔女アヴローラは第二覚醒で身体能力の強化されたオクタヴィアを警戒し距離をとる。持っていた二本の石剣を投擲し、新たな石剣を形成する。さらに無数の石の針をアンリとオクタヴィアに放ち牽制する。


「……吸収した身体が馴染んできた……本気でいきますよ……魔力制御解除」


 魔女アヴローラは魔力制御術式の刻まれた黒霊布のブラを外す。周囲の瘴気を吸収し体内で魔力に変換する。


「……フフフ……」


 魔女の身体が輝き魔力で白霊布が形成されていく……魔力で形成された白霊布のドレスが成熟した女の肉体を包んでいる。

 

「……どう?素敵でしょう?……フフ」


 魔女は紅潮した顔に微笑みを浮かべ、瞬時にアンリへ接近し蹴りかかる。


「……くっ!」


 アンリは減速術式で形成した氷の盾で魔女の攻撃を防ぐ。


「……溶けなさい加速術式」


 魔女アヴローラが氷の盾に手を当て高熱を放つ、アンリの氷の盾は瞬く間に融解する。


「ちっ!」


 アンリは氷の短剣を形成し魔女に斬りかかる。斬撃は芯を外し、魔女の身体に浅い切り傷をつくる。白霊布のドレスが赤い血で汚れる。


「油断しました……ラプスニードル」


 至近距離からの攻撃を躱しきれず、アンリの身体に石の針が突き刺さる。


「アンリ!」


 オクタヴィアが襲いかかる水の柱を避けつつ、アンリのフォローにまわろうとする。


「岩津波」


 触れたものを石化させる波がオクタヴィアへ襲いかかり、彼女を後退させる。


「終わりですね……」


 石の針を受けうずくまるアンリへ魔女は石剣を振り下ろす……


「助太刀致します!」


 突然、青肌のオークの女が現れ、アヴローラにレイピアで連続突きを放つ。突然の乱入者に警戒したのか、魔女は少々後退し間合いを取る。さらにオークの女は魔女へ擲弾を投げつけ牽制する。


「アガサ!」


 オクタヴィアが声を上げる。


「すまない助かった、アンタは?」


「え、えーと、オクタヴィア殿とは……」


「友達なんだ」


「……そうですね、詳しい話は落ち着いてから……傷は大丈夫ですか?あの魔女は厄介ですが三対一ならいけるはずです」


 爆炎が晴れ、魔女が姿を現す。白霊布のドレスが所々焼け焦げている。


「一人くらい増えても構いませんよ……急がないとお友達助けられませんよ」

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