第67話

 ……オクタヴィアの連撃を食らったストーンゴーレムが大きな音を立て崩れ落ちる。


「時間は稼いだようね……」


 展開した魔法障壁内部で金髪の女は魔力をため込み膨張した乳房をさする。


「くらえ!」


 ディアスが女に向け砲弾を放つが、砲弾は障壁を突破することができずに炸裂する。


「残念、無駄……」


 女は装着した術式の刻まれたブラを脱ぎ捨てる。


「ああっ!んんっ!」


 金髪の女は両手で胸を押さえながら嬌声を上げる。魔力が女の身体を駆け巡り、肉体をより強くより蠱惑的に変化させていく。

 

「はあ……はあ……」


 女は身体を痙攣させている。


「覚醒完了……」


 強固な魔法障壁が解け、女が覚醒した肉体をアンリ達の前に露わにする。

 ……ストーンゴーレムを倒したオクタヴィアがアンリ達の元へ駆け寄ってくる。


「こっちは片がついた!そっちは?」


「……第二覚醒体になったようだ……魔力の質がさっきと違う」


 魔力によって生み出された白霊布の布切れが金髪の女の胸に張り付き、乳房が完全に露出するのを防いでいる。


「……いい気分だわ……」


 第二覚醒体に変身した金髪のシェイマは、アンリの放った氷弾を魔力を込めた蹴りで打ち消すと、ディアスに視線を向ける。


「……なっ、なんだ?寒気が……」


 ……ディアスの手持ち大砲を持つ手が小刻みに震えている。


「貴方……さっきわたしに触れたでしょ?わたしの魔力を流し込んでおいたの……」


「くそっ……手が震える……」


 ディアスは金髪の女に砲弾を放つ。女は俊敏な動きで砲撃を回避する。


「覚醒して動きが良くなってやがる……うっ、はあはあ……」


 ディアスは呼吸の度、苦しそうに肩を上下させる。


「効いてきた?……それとも……もう一押し必要?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る