第57話 入湯

 黒髪のシェイマ、オクタヴィアは手際よく河原を掘り広げていく。


「ちょっと、熱いかな……」


 彼女は手で水温を確認しながら流入する沢の水の量を調整する。


「これくらいかな……?」


 ブーツを脱ぎ、足を湯に入れる。


「うん……大丈夫」


 オクタヴィアは小屋に戻り、身に着けた鎖帷子と衣服を脱ぎ下着姿になった。魔術耐性を高める術式が刻まれた黒い下着が彼女の美しい肉体を包んでいる。


「アンリとディアスも温泉入ろうよ」


「いや……俺はいいや、魔獣が来ないか見張ってるから、二人で楽しんでくれ」


 オクタヴィアはアンリの身体に手をのばし、衣服を剝いでいく。


「高そうな下着つけてるね、アンリ」


「ちょっ、変なとこ触るな!」


 オクタヴィアはアンリに身体を密着させ、胸を押し当てながら、アンリの複合術式の刻まれた青いブラとショーツに手を伸ばした。


「えーいいじゃんか、恥ずかしがらなくても」


「……手つきがいやらしい……」


「いいじゃんかいいじゃんか、小さい頃も二人でお風呂入ったよね、入ろうよ、折角だからさ」


「わかったから……ちょっと離れてくれ」


 オクタヴィアはブラとショーツを素早く脱ぎ、沢へ下り河原の湯に身体を沈める。


「なあ、ディアスも来てくれよ」


 アンリはブラとショーツを脱ぎながら小屋の外に居るディアスに語りかける。


「……なんでだよ」


「いいだろ……オレ一人だとアイツに何されるかわからんだろ」


「……」


 オクタヴィアは自身が掘り広げた野湯に浸かりながら腕を伸ばす。


「しかし、こんなところで温……」


 アンリが湯に浸かりながら呟いたところをオクタヴィアが身体を寄せてくる。


「なんだよ」


「うーん、見事に女の子の身体になってるなって思って」


 オクタヴィアは女性化したアンリの肢体と顔をじっと見つめる。


「一緒にお風呂入ってたら、昔を思い出してさ、お父さんは元気?」


「しばらく会ってないからわからないな」


「へえ、そうなんだ」


 オクタヴィアは豊かで弾力のある乳房をアンリの肩に押しあてる。アンリの身体に野湯とは違った温度が伝わっていく。


「やっぱり淵術の魔力が身体の奥に溜まってる……」


 彼女はアンリのへそに手を伸ばした。


「ちょっ、触るなって」


「……魔力吸いだしてあげようか、そしたら男の姿に戻れるよ」


 彼女はアンリの腹部に腕を回すと、アンリの背中に自身の弾力のある胸部を押しつける。


「うっ、あっ……やめっ……」


 オクタヴィアの心臓の脈動がアンリの身体に伝わり、アンリの顔が紅潮し、汗が流れ落ちる。


「あっ、ぐっ……」


 アンリの体内に残留したルーネの淵術の魔力がオクタヴィアの胸に吸い取られてく。


「これくらい、吸収すれば変異が解けて元の身体に……あれ?」


「はあ……はあ、あっ、胸が熱い……痛っ」


 アンリの胸に鋭い痛みが走り、胸が膨らんでいく。


「あれ、間違ったかな?もしかして……魔性が活性化した?」


「……なんか変な気分だ……身体が……熱い……」


 アンリの身体が震えている。


「これは魔力の質が少し変わった?魔力が強化されたような……」


 オクタヴィアは背後からアンリの下乳に触れる。


「痛っ!敏感になってるんだから触るな!」


「ご、ごめん」

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