第39話 肉体融合
「隕鉄の聖槍ね……それじゃあ口外できないわね」
「いや、ルーネに迷惑かけたくなかったからさ」
ルーネは何か考え事をしているのかベッドに腰掛けながらボーっと鏡を見つめている。
「……ガラテアさん中央教会にバレたら処刑か、封印されるか、もしくは実験体でしょうね」
「ああ」
「それにしても隕鉄の聖槍と同化して精神や自我に異常をきたさないなんて凄いわね……昔は強大な魔導具と同化させて自我を崩壊させた人間を魔力炉としてエレルギーを抽出するなんてのもあったらしいわ……」
ルーネは足を組み替え、髪をかきあげる。
「……この前、戦ったサニアとかいう術者、相当やりてだったわね……あの女のこと淵術協会の方から探ってみようかしら……いや、おそらくカストル人じゃないからマリエスブールの淵術協会じゃわからないか……」
ルーネは呟きながらベッドから立ち上がると、下着姿のままポールアックスを構え、鏡の前でポーズをとった。
「……少し背が伸びたのがいいわ……わたし、もう少し背が欲しかったから」
前かがみになり顔を鏡に近づけると、太ももの淵術刻印と胸を触った。
「胸が少しきついかしら……」
ルーネはブラジャーに手を入れてバストの位置を調整する。
「魔力を吸収したせいで胸が張ってって……ちょっと痛いわ……いい黒霊布の下着は余剰魔力を吸収して術者の身体に合わせて最適化してくれるの……値は張るけどね」
胸の位置を調整し終えると足を高く蹴り上げた後、回し蹴りを放つ。
「身体の切れもいいわね……身体能力も魔力も元のわたしよりもだいぶ強化されてるみたい」
彼女は鏡の前で身体を動かした後、再びベッドに腰掛けた。
「はあ……ふう、何だか……さっきの魔法薬、だいぶ効きすぎたみたい……気持ちいいんだけど……浮遊感というか意識がボーっとする……」
ルーネは額から流れ落ちた汗を拭った。
「……悪いけど、肉体の主導権……しばらく任せるわ」
「ああ、わかった」
瞳の色が金色から青に変わった。
「アンリ、女の身体はどう?その身体しばらく好きにしていいわ……ああ、さっき、わたしが飲んだ魔法薬の予備何本かもってきてるから、アンリもよかったら使って」
「へえ、どっから手に入れたんだ?」
アンリは肉体の感覚を確かめるように右手をゆっくりと閉じたり開いたりしている。
「マリエスブールの淵術協会で仕入れてきたの……結構強かったみたい、原液を一気に飲むもんじゃないわね」
「高かったんじゃないか?」
「それなりには、ものが良いぶんね」
アンリはゆっくりとベッドから立ち上がる。
「ねえ、アンリこれから予定ある?」
「特にないよ」
「じゃあ、これから王都へ行かない?」
「なんでさ?」
「マリエスブールにいるわたしの師匠のところで身体の調整してもらおうかと思って、それから魔獣狩りに行きましょうよ、実戦でこの身体試したいの……それとも王都の夜のお店でこの女の身体試してみる?……ああ、面倒ならここでも構わないわよ?」
「……とりあえず、マリエスブールへ行くんだな、わかった」
アンリはクローゼットを開けて、外出の準備をする。
「そうそう、ラディナのエレオノーラ大公がマリエスブールに来てるみたい、黒髪のシェイマで背が高くて美人で武芸の達人で魔術師としても結構な使い手らしいわ、ちょっとでいいから姿を見てみたいわね」
「へえ、そうなのか」
「そういえば、シェイマって黒髪は父方と母方両方の血統に黒髪がいないとならないらしいわね……わたしたちはオクタヴィアさんを知ってるからあんまり珍しく感じないけれどね」
「オクタヴィアはラディナ系シェイマで黒髪は30人に一人ぐらいで、エティーレ系はよくわからないって言ってたな」
「長身で黒髪でおっぱいの大きい女っていいわよね……憧れるわ……オクタヴィアさんと一緒にサウナに行ったりするとね……ただ大きいだけじゃなくて形も凄くいいのよね……
でも、オクタヴィアさんとは身体の相性が良くないみたいで上手く融合できないのよ、何度も試してるんだけど」
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