第24話 魔術師ハイディ2

「……そう言えばアンリ、手伝ってほしい仕事があるんだが……」


「ああ」


「火薬と魔法石の注文が入っていてだな、集めてほしいのはそいつの精製に必要なド……」


 ハイディとアンリの会話を遮るように

「……先生!!ハイディ先生!」

……屋敷の玄関からハイディを呼ぶ声がした。


「ん?誰か来たのか?アンリちょっと待っててくれ」


 ……ハイディの屋敷の前に一人の男が立っていた。


「ルカさんじゃないか、今日はどうなさったか?」


 ハイディはルカという少々やつれた様子の細身の男を研究室に招き入れた。


「何か飲むかね?」


「いえ、私は遠慮しておきます……ハイディ先生、妻の様子が……」


「……あまり、よくないか……」


 ハイディは男の顔色を窺いながら、呟いた。


「はい……芳しくありません」


「……医師に見せたほうがいいんじゃないか?私は魔術師で医学の専門家ではないからね」


「……先日、医者に診てもらいました」


「そうか」


「医者によると、やはり妻はリゾーム中毒のようで……

……以前の妻はとても活発で病気知らずだったのですが、

今はほとんど家から出られない状態で、食欲も……」


「……ルカさん、貴方も顔色があまりよろしくないようだ」


「……最近、なんだか疲れがとれなくて……立ち眩みや眩暈がすることも度々あるのです」


「奥さんのことで大変だろうが、貴方まで倒れてはいけないよ」


「はい……気を付けます」


「……では、リゾーム中毒を抑える薬を渡しておく」


 そう言うとハイディはやつれた男ルカに薬瓶を渡した。

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